短時間勤務を利用して職場復帰した主任看護師の広瀬百恵さん(右から2人目)=福井市の福井県済生会病院

 勤務表に、アルファベットのほか、●、★、※など、さまざまな記号が並ぶ。福井県済生会病院(福井市)の看護師には、出退勤時間などが異なる19種類の働き方がある。忙しい時間帯をどう補うかや、働きやすさを模索する中で、徐々に増えていった。

 通常の日勤は午前8時15分から午後5時15分だが、午前10時から午後7時までの勤務もある。子どもを送り出した後、ゆとりを持って出勤でき、忙しい夕方の勤務者が増える利点もある。午後8時から始まる夜勤もあり、それまでに帰宅した夫ら家族に子どもを任せて出勤することができ、ニーズは多いという。

 看護師約600人のうち、20~30代が69%を占める。看護部長の脇和枝さん(51)は「仕事と家庭を両立したいという人が多く、多様な選択肢があれば仕事を続けやすい。忙しさを分担することで長時間労働の抑制にもつながっている」と強調する。

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 働き方が限られていた時は、日勤でも午後7時ごろまで残業し、次の勤務が深夜勤だと帰宅後に1、2時間ほど仮眠して、午前0時にまた出勤する人が目立った。負担が大きく、結婚や出産などで退職する看護師が多かった。

 働き方の改善を進め、2006年に月9・4時間だった平均残業時間が、16年は3・3時間と約3分の1になり、離職率は10%前後から4・9%に減少した。仕事のやりがいも高まり、出産後に短時間勤務で復帰した人が看護の専門的資格を取る例が増えているという。

 短時間勤務を利用している主任看護師の広瀬百恵さん(33)は「復帰前は両立できるか不安もあったが、早く帰れるからこそ、家事もできるし、子どもとしっかり向き合える」と話す。「いろいろな制度を使えば働き続けられるということを後輩たちに見せたい。結婚や出産が障害になるのではなく、いろいろな仕組みで支えて離職を防ぐことは他の職業でもできるはず」と強調した。

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 17年の「女性が活躍する会社ベスト100」で1位に選ばれた第一生命保険(本社東京)の南部雅実取締役常務執行役員(福井市出身)は「これからはビジネススタイルの変革が求められる。いろいろな目線や価値観を持っている女性が活躍しなければ、組織として変革が出てこない」と指摘する。

 同社の管理職に占める女性の割合は24・2%(17年4月現在)に達している。一方、県内の管理職の女性割合は11・3%にとどまる。15~64歳の女性の就業率が74・8%と全国トップで共働き率も高い半面、男性の家事・育児の参加が少ないとの調査結果もある。

 南部さんは「経営陣が本気で(女性活躍の)必要性を伝え、仕組みをつくり、自信を持たせられれば、福井の女性に管理職ができないはずがない」と話す。男性に向けても、こう呼び掛けた。「いろいろな目線を持たなければならないのは男性も同じ。長時間働き、上司や同僚とだけ付き合っていると、価値観が偏る。会社を離れ、1人の消費者になる時間が必要で、家事や育児はその大切な場面になる」

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