台風5号の影響で増水し濁流が流れる木の芽川=8日、福井県敦賀市

 7~8日の台風5号接近の影響で福井県敦賀市街を流れる笙の川の洪水の危険性に加え上流の木の芽川も増水したが、同川を管理する県は避難勧告などの発令の目安となる警報水位を設定していなかった。2河川の合流付近の地域は市街地で避難所があり、市災害対策本部は木の芽川の水位を注視。迅速な避難判断を求められる可能性があったため、警報水位の未設定について市危機管理対策課は「課題として残った」としている。

 市災害対策本部は笙の川の増水に伴う避難対策の検討で、県の「河川・砂防総合情報システム」を活用。県内各地の雨量や河川ごとの水位がリアルタイムで把握できるシステムで、河川の断面図で警報値との水位差も確認できる。笙の川は県が設定している避難判断水位や氾濫(はんらん)危険水位を超えたため、同本部は周辺の13区に避難勧告、避難指示を出した。

 8日明け方の同本部の会議では、笙の川と木の芽川の合流付近の同市東洋町にも避難勧告の範囲を拡大するかどうかを検討。県のシステムで、木の芽川の観測所(同市中)のデータは普段の水位よりも1・5メートル程度上昇していた。ただ、避難判断水位などの設定がなく、同本部は河川断面図や雨雲の動きなどを分析し「(堤防高に対して)余裕があるように見えるので、様子を見る」と判断。その後水位は下がった。

 県のシステムは、県内の41河川、100カ所の観測所データを提供しているが、木の芽川と同様に警報水位を設定していない河川もある。未設定の理由について、県は「河川改修の整備計画がないと氾濫危険水位などの設定が難しい」(砂防防災課)とし、測量しておらず流下能力が分からないからだという。木の芽川の河川整備計画の策定についても「下流の笙の川の改修が優先される」(河川課)と現状では検討していない。

 ただ、東洋町は市のハザードマップで洪水浸水想定が0・5メートル~2メートルに設定され、今回の笙の川の増水で避難所となった市プラザ萬象などが立地する。木の芽川にまで洪水の恐れが出れば、プラザ萬象からの即座の避難判断が重要となっていた。

 市危機管理対策課は「木の芽川については現状は水位の上昇具合や目視で避難判断するしかないが、警報水位が定められていれば、速やかな安全な判断につながる」としている。

関連記事