産業観光を打ち出し多くの観光客を集める能作の能作社長=富山県高岡市の本社

 富山県高岡市の鋳物メーカー「能作(のうさく)」が4月、体験工房やカフェなどを備えた新社屋をオープン。「産業観光」という新分野を打ち出し、全国から注目を集めている。福井県坂井市出身の能作克治社長(59)は「年間5万人入ればと思っていたが、オープン3カ月で3万人を超えた。特に製作体験がこれほど人気になるとは驚いた。福井の人にも足を運んでほしい」と話している。

 高岡市の銅器製造は江戸初期、加賀藩主前田利長が現在の金屋町に7人の鋳物師(いもじ)を招いたのが始まりとされる。仏具や花器を製造していたが、近年は食器やインテリア雑貨、照明器具などが中心。能作ではスズ製の曲がるカゴやビアカップ、真ちゅう製の風鈴など次々とヒット商品を生み出してきた。

 急成長を遂げた同社が創業101年目に社運をかけたのが、産業観光の分野。新社屋建設を機に、鋳物の製造工程を間近で見られる工場見学(無料)を始めたのに加え、ぐい飲みや小鉢などを作れる体験工房、工場限定品の販売コーナーなどを備えた。

 エントランスには鋳型をガラス張りの“倉庫”に収め、オブジェ風に飾った。床には真ちゅう製の日本地図を埋め込んだほか、富山県の形をした机に、プロジェクションマッピングで県内の観光地を投影し子どもも楽しめるよう工夫。「これまで職人の地位は低かった。長年受け継がれてきた技術や、ものづくりの現場に興味を持ってもらうことで変えていきたい」と話す。

 福井県内の企業とも積極的にコラボ商品を開発している。黒龍酒造(永平寺町)とは昇り龍をイメージしたスズ製の徳利(とっくり)、「Hacoa(ハコア)」ブランドを持つ木製雑貨の山口工芸(鯖江市)とは、年輪が浮き出たスズ製のビアカップを作った。「福井県にも伝統産業はたくさんある。一緒に盛り上げていきたい」と意欲をみせる。

 海外にも販路を拡大し、米国やアジアを中心に10カ国と取引する。「日本の技術は世界に負けないとの自負はあるが、売り込むプレゼン能力が足りない。それぞれの国の文化の違いを踏まえて売り方を考えるべきだ」と指摘する。

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