福井県小浜市の村上利夫市長(75)=二期=は十日、来年七月に予定される市長選に出馬しない意向を表明した。初当選以来、積極的に推進してきた「食のまちづくり」が軌道に乗ったことや、公立小浜病院の高度化整備など市の第四次総合計画にめどがついたことを理由に挙げている。同日、市役所で開いた定例会見で記者の質問に答えた。

 村上市長は「総括はまだできていない」としながらも「最初から二期八年を全力投球しようと思っていた。食のまちづくりは予想以上に全国に波及した。第四次総合計画に盛り込んだ各種施策もある程度軌道に乗り、手応えを感じている」と振り返った。


 その上で「琵琶湖若狭湾快速鉄道の実現や企業誘致、観光交流人口の拡大など課題は残るが、すべて私の任期中にというわけにはいかない」と不出馬の理由を述べた。


 後継者については「市民が選択すること」と言及を避けたが、「食のまちづくりなどを続けてくれるような人が選ばれれば、市民が(施策を)評価してくれたことになる」と述べ、主要施策の継続に期待感を示した。


 同市長は鯉渕学園研究科卒。県職員から県議三期を経て二○○○年七月、無投票で初当選した。御食国(みけつくに)の伝統を生かした食のまちづくり推進へ、全国の自治体に先駆けて「食のまちづくり条例」を制定。食の大切さや食育の重要性を掲げて多角的な施策を展開した。


 厳しい財政状況の下、公立小浜病院の高度化やごみ処分場「リサイクルプラザ」の整備、小浜小の移転新築などを進めた。上中―今津を結ぶ「琵琶湖若狭湾快速鉄道」の実現を求め、嶺南自治体の先頭に立って運動した。市内に多く残る神仏習合寺社群の世界遺産認定を目指し、積極的に取り組んだ。


 一方で、周辺自治体との調整が不調に終わり「平成の大合併」に加われなかった。沈滞ムードが続く市街地、地域経済の活性化には明確な施策を打ち出せなかった。
 前回市長選では、原発使用済み燃料の中間貯蔵施設誘致に否定的な立場を取り、対抗馬を破って再選を果たした。


 現職の不出馬表明を受け、今後後継者選びが各方面で活発化するとみられる。現時点で表立った動きはないが、同市出身で東京在住の会社役員(54)が出馬の意向を固めたもよう。有権者の間では現職県議や市議らの名前が取りざたされている。

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