大城美佐子『芸道足掛60年記念ライブ「琉球の風と海と太陽(ティーダ)」』

 青く澄んだ海、輝く太陽。静かな波の音の間から聞こえてくるナレーションの声は、仲間由紀恵――(!)。もうこれだけで沖縄の「芸道」における重鎮であることは言わずもがななのだが、琉球民謡最後の歌姫・大城美佐子“おねえさん”、キャリア60年だそうである。これを記念し行われた、赤坂ACTシアターでの特別公演の様子が、本公演に参加したよなは徹、徳原清文ら豪華アーティストへのインタビューとともに本作にまとめられている。

 民謡からポップスまで、沖縄の音楽は好きでよく聴いてきたつもりだったが、まだまだ奥があったかと、当然ながら思い知らされるライブだ。徳原清文が紹介しているように、早弾きの楽曲も素晴らしいが、やはり恋の歌の切なさったらない。40歳のよなは徹と、年下の男との恋愛(不倫)の歌「二才小バーチー」を歌うさまは、こちらまでドキドキしてしまうほど艶っぽい。琉球民謡界のエディット・ピアフ……! なんて、勝手に呼ばせていただきたくなる。

 そう、歌はすべて琉球の言葉なのだが、本作を観れば字幕でしっかりと歌詞を楽しむこともできる。これはDVDの大きな魅力だろう。すぎゆく夏を惜しみながら、秋の夜長にぜひご覧いただきたい。

(ポニーキャニオン・3704円+税)=玉木美企子

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