【論説】開発段階から安全上の問題点が指摘されていたオスプレイがまた墜落事故を起こした。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属の新型輸送機MV22である。昨年12月にも名護市辺野古近くの海岸で事実上墜落、8カ月の間に2度の重大事故だ。在沖縄米軍は日本政府の飛行自粛要請を無視して飛行を強行。翁長雄志(おながたけし)知事は配備撤回を強く要求している。県民の不安と不信感は高まるばかりだ。

 事故は5日、オーストラリア東部沖で発生。オスプレイが輸送揚陸艦に近づき着艦しようとした際、甲板に衝突、海中に墜落したとみられる。米海軍安全センターは搭乗の海兵隊員26人のうち3人が死亡したと発表した。事故は深刻度を示す4分類中、最も重大な「クラスA」である。

 事故原因が明らかになっておらず、小野寺五典防衛相が国内での飛行自粛を求めたのは当然だ。それにもかかわらず、米軍は要請の翌日に飛行を始めた。

 シュローティ在日米軍副司令官は「安全性を確認した上で、運用上必要だと判断した」という。どのように確認したのかも分からず「運用上必要」と独占的な管理運用の論理で強行するのは、まさに「治外法権」そのものではないか。

 「自粛」という政府の弱腰も気になる。翁長知事は「起こるべくして起きた。事故究明も全く当てにならない」と批判した上で「日本政府に当事者能力がない。国民を守る気概があるのか」と主権が危うい政府に不信感をあらわにした。

 強固な日米同盟に基づき米軍が日本の防衛に貢献しているのは事実だ。だが、国防総省のデービス報道部長の「日米が共有する安全保障を促進するために、オスプレイは資産だ」「安全を最優先させている」という発言には首肯できない。欠陥機との指摘もあるオスプレイだ。果たして日本にとっても重要で安全な「資産」なのだろうか。

 昨年12月13日の「墜落事故」は夜間の空中給油訓練中に起きた。同日、普天間飛行場で別機が胴体着陸。6月に米軍飛行場、その4日後には民間の奄美空港に緊急着陸する事態が発生した。夜間飛行や低空飛行訓練も日常化しており、運行計画の堅持に県民の不安と怒りは増す一方である。

 オスプレイを巡っては、開発段階の1991〜2000年に「クラスA」の墜落が4件発生、死者は計30人に上った。実用段階に入っても墜落や着陸失敗事故が相次いでいる。

 同型機は陸上自衛隊が佐賀空港に17機配備の予定だが、同県は墜落事故原因が明らかにされるまで計画に同意できないと反発した。また10日から北海道大演習場(札幌市)などで、オスプレイ6機が参加して日米共同訓練を計画するが、飛行中止を求める動きは関係各地で広がっている。

 その渦中、江崎鉄磨沖縄北方担当相は沖縄訪問に先立つ会見で日米地位協定の見直しに言及した。一度は入閣を断るほどの「素人」閣僚だ。軽率な発言なら、これも不信の種となろう。

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