【越山若水】始まりは嶺南地方に発令された「竜巻注意情報」だった。その後「避難準備・高齢者等避難開始」「大雨・洪水警報」「土砂災害警戒情報」などが次々に出された▼不安の頂点はきのう未明。敦賀市を流れる笙の川で氾濫の恐れがあるとして、「避難指示」の発表。ジワジワ接近する台風5号に夜も眠れなかったに違いない▼日本列島を虎視眈々(たんたん)とうかがうように近づき、発生から18日を超える歴代3位の「長寿台風」となった。きのうは滋賀県から福井県東側を通過して北へと向かった▼地球温暖化が懸念され、今年も集中豪雨や猛暑日など異常天候が目に余る。災害には十分に注意したいが、「災害列島」とも呼ばれるわが日本、弥生時代の遺跡にも先人の知恵が残されているという▼大阪府八尾南遺跡で洪水に襲われた竪穴住居のムラが見つかった。土砂にハシゴが埋もれていたものの、土器や道具類など生活用品はほとんど出土しなかった。なぜだろう▼学芸員の推理はこうだ。防災技術が不完全ゆえ洪水の危険を察知すると家財道具を持ってすぐ逃走。「予知する・逃げる」が身を守る鉄則だった―と▼「日本人は大災害をどう乗り越えたのか」(文化庁編、朝日選書)から教わった。現代は危機管理の技術や情報伝達がかなり進歩した。ただ「予知する・逃げる」、弥生人のような基本行動を忘れてはいけない。

関連記事
あわせて読みたい