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 日本がかつて同盟を結んでいたドイツで、数多くのユダヤ人を虐殺した恐ろしい男がいたのを知っていますか? 彼の名前は、ラインハルト・ハイドリヒ。ナチス親衛隊の中で、最も冷酷と言われた男で「ナチの野獣」「悪魔」「プラハの虐殺者」などの別名で恐れられていた男です。本作は、彼を暗殺しようと作戦を立てた軍人たちが作戦をどのように実行したかを描いた話。鑑賞前に、このハイドリヒがいかに悪魔のような男なのかを勉強すると、「どうしても殺さなければならなかった」男だということが分かるはずです。

 本作の舞台はチェコのプラハ。ハイドリヒは直ちに「即決裁判所」を作ると、問答無用で銃殺や公開処刑を開始。プラハは、ハイドリヒが来た瞬間からまさに地獄となってしまいます。

 そんな地獄のような場所を救いに来たのが、本作の主人公であるヨゼフとヤン。彼らはハイドリヒの暗殺計画を企てたイギリス政府とチェコスロバキア亡命政府からパラシュートでチェコに入って来るのです。でもヨゼフもヤンも一人の人間。多くの人に悪魔と恐れられているハイドリヒを殺すのは、誰だって恐ろしいこと。協力者も彼らも、全員が震えながら作戦を実行しようとする姿にはとても真実味を感じます。

 ハイドリヒを暗殺するという恐ろしい任務を遂行するため、常に冷静なヨゼフを演じるのは映画『ダークナイト』シリーズや『インセプション』などノーラン映画の常連で最新作『ダンケルク』にも出演しているキリアン・マーフィー。暗殺という重圧と死への恐怖から逃れられずに苦悩する若き兵士を映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』のジェイミー・ドーナンが演じています。監督はフォトグラファーとしても活躍しているショーン・エリス。約10年ぶりの長編制作となるショーンですが、アート色が強かった前作に比べ今回は人間の心の機微に迫ったスリリングなサスペンスとなっています。★★★★★(森田真帆)

監督:ショーン・エリス

出演:キリアン・マーフィ、ジェイミー・ドーナン

8月12日から全国順次公開

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