同じ職場の先輩(右)に染色の手順を習うアリン・インディアルニさん(左)とイク・オクタマ・クリスティさん=福井市の日華化学総合研究所

 体調が悪くて会社を休んだ日も、ベッドにパソコンを持ち込み、枕の横には携帯電話。部下にメールや電話で指示を出すためだ。

 複数の日本企業で働いた経験を持つフランス出身で福井県内在住のデュポン・ルーさん=仮名=は「チームワークがないから誰も僕の仕事をフォローできない。みんな自分の仕事しか見ていないし、残業は当たり前」。日本人の働き方に大きな違和感を抱いている。

 海外と取引する仕事の内容には満足していた。しかし、時差に対応するため、深夜まで残業。日中は会議に時間を取られた。「会議は報告ばかり。議論はなく、無駄な気がした」と振り返る。

  ■  ■  ■

 フランスに原則残業はない。勤務時間が午前9時~午後5時半の場合、午前8時59分にタイムカードを押し、午後5時ごろから帰る準備をする。退社後はカフェバーに向かい「もう一つの一日が始まる」と言われるほど、アフターファイブを楽しむ。

 「休むときはしっかり休むのがフランス流の働き方」。ルーさんによると、フランスの有給休暇は年間約5週間。主に夏に3週間、冬に2週間のバカンスを楽しむ。「電話をしても『休暇中なので1カ月後にまた掛けてね』と音声メッセージが流れるだけ。お互いさまだから誰も怒らないよ」と笑う。

 フランスとの違いを感じ、以前勤めた会社で上司に何度か仕事回しを相談したことがある。改善されず毎年同じことの繰り返し。「疲れた。僕はロボットじゃない」。退職し、海外旅行に出掛けた。「人生は短い。しっかり働いて、しっかり人生を楽しみたい」。今は、上司や同僚と協力し合える別の日本企業で充実した日々を送る。

  ■  ■  ■

 インドネシア出身のアリン・インディアルニさん(24)は日華化学(本社福井市)の研修生。繊維の加工について学んでいる。当初は残業をいとわない日本人の姿に少し驚いたが「クライアントの依頼にノーとは言わず、要望以上の答えを出そうと試験を繰り返す。質の高い製品が生まれる理由が分かった」。女性に対する配慮が手厚いとするのは同じ研修生のイク・オクタマ・クリスティさん(25)。「インドネシアの産休は3カ月。日本は産休も育休も十分あって、復帰後も時短などのサポートが充実している」と話す。

 ただ、日本の男性は家庭での“仕事”につぎ込む時間は外国に比べ短い。内閣府の男女共同参画白書平成29年版によると、日本人男性が家事や育児に費やす時間は1日約1時間。フランスの2時間半、アメリカやイギリスの約3時間の半分にも満たない。

 通信インフラサービスのオールコネクト(同市)で働くバングラデシュ出身のアミン・ムハマドイリアスさん(34)は、妻と子どもの3人暮らし。仕事は楽しいが、妻に怒られることが一つだけある。「もっと早く帰ってきて」。同国では多くの男性は定時の午後5時で帰り、子どもと遊んだり、ときには夕食を作ったりするという。「人生の目的は仕事じゃない。日本人にはもっと家族を大事にしてほしい」

関連記事
あわせて読みたい