【論説】第3次安倍第3次改造内閣が発足した。閣僚経験者の再登板や自民党内の非主流派の登用など、安倍晋三首相は「結果本位の仕事人内閣」と表したものの、党政調会長に就任した岸田文雄前外相兼防衛相にスポットが当たってしまうほどにインパクトのない布陣と言っていい。「『サプライズのなさ』がサプライズ」という識者の言葉が当を得ている。

 森友・加計学園問題や、南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題で失墜した国民の信頼は大臣の首のすげかえでは払拭(ふっしょく)されるはずもない。問われるのは首相自らの「1強」体質であることを肝に銘じるべきだ。

 安倍首相にとって来年9月の自民党総裁選で3選を果たし、宿願の憲法改正を成し遂げるためには、何としても支持率の下落に歯止めをかけなければならず、これまでのような身内に重きを置いた「お友達内閣」では国民の信頼回復もおぼつかない。新布陣はまさに保身に走る「崖っぷち内閣」である。

 挙党態勢の構築には腐心の跡がみてとれる。党執行部、閣僚人事ともに派閥のバランスに配慮したようだ。だが、党四役は70歳以上の3人が占め、19閣僚では留任が5人、閣僚経験者が8人と刷新感は薄い。思い切った若手の登用も考えるべきだったのではないか。

 去就が注目されていた岸田氏は、首相の留任意向を断り、自ら閣外へ身を置いて党務をこなすことを希望したとされる。党総裁選への布石ともみられる。記者会見で憲法の9条改正には慎重な姿勢は変わらないとした上で、政調会長として「活発な議論の環境をつくるのが私の立場だ」と述べたが、持論を封じてまで安倍政権を支え続けられるのか、疑問も残る。

 岸田氏が4年8カ月近く務めた外相には河野太郎元行政改革担当相が起用された。北朝鮮の核・ミサイル開発問題をはじめ米中韓ロなどとの間には難問が山積している。河野氏はどうかじ取りしていくのか、力量が問われる。

 総務相に郵政相などを務めた野田聖子元自民党総務会長を起用した。前回の総裁選で出馬を模索し、首相と距離を置いてきた。首相は「挙党一致」を印象付けたい考えなのだろう。だが野田氏にとっては取り込まれた格好で、存在感をいかに発揮できるかだ。

 一方、衆院安全保障委員会の閉会中審査が予定されているPKO日報隠蔽問題では、自民党側が渦中の稲田朋美元防衛相は辞任で責任を取ったとして参考人招致を拒否している。加計学園問題でも「大臣が交代したから」などと同じような対応を取れば、「疑惑隠し内閣改造」と言わざるを得ない。

 安倍首相は「私自身、至らない点があり、こうした状況を招いたことを深く反省している」と言うなら、疑念に対して丁寧に説明責任を果たしていく覚悟がなければ、国民の信頼は取り戻せない。支持率回復の要諦はそこにしかない。

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