【越山若水】夏が食べごろの魚といえば、まずは川魚の女王とも呼ばれ香り立つ味わいのアユ。次いで万葉の古代から夏バテ防止で知られるウナギだろう▼人気が高い旬の魚だけに歌や俳句の題材にも使われた。「腹黒の鮎(あゆ)よと串を抜きにけり」。阿波野青畝(せいほ)の句は、釣るのに難儀したのか、焼きすぎたのか、「腹黒」の表現が個性的だ▼江戸天明期の大田南畝(なんぽ)は狂歌で腕を振るった。「あなうなぎいづくの山のいもとせをさかれて後に身をこがすとは」。「あな憂(う)」「背を割かれて」の掛け言葉で遊ぶ▼日本人に久しく愛されてきた2種の魚だが、料理人の清水桂一さんによると、実は焼き方が全く異なるそうだ。塩焼きのアユは香気が第一。だから脂が火に落ちて煙が出ないように焼き上げるという▼逆に、かば焼きで食べるウナギは脂とタレが火に落ち煙になるのを待って、うちわをあおぎ煙でいぶすように焼く。要するに煙の香りでおいしくするのが調理のコツらしい▼冷凍技術の進歩で今や真夏のサンマやカツオも珍しくない。それでも旬に食べるのが一番と清水さんは言う(「味の歳時記」CCCメディアハウス)▼北陸の梅雨がようやく明けた。いよいよ夏本番である。折しも6日は土用の二の丑(うし)。滋養豊富なウナギで早速、暑さ対策を講じたい。それが済めば県産アユで涼味を満喫する。夏が旬の魚で猛暑も苦にならない。

関連記事
あわせて読みたい