【越山若水】天ぷらやフライを揚げた後の油の後始末はけっこう面倒だ。このごろは、熱い油にサッと入れて固める便利な粉末がある。冷めて固形になったのを生ごみで出せる▼ところが、この重宝な粉をうっかり切らすと大変。油をどこに捨てるわけにもいかず、一晩放置することに。それが嫌な記憶になり揚げ物の料理自体が億劫(おっくう)だ▼そういう人が多いだろうと思っていたら、常識はいつの間にか廃れていた。天ぷら油などを流しに捨てないよう気を付けている人は全体の半数にとどまったという▼ミツカン水の文化センター(東京)が東京、大阪、中京圏の1500人に調査した結果である。2009年まで15年間の平均では9割も“捨てない派”がいた。急減ぶりには驚く▼残念ながら若い人ほど無頓着、という結果が出た。そこで識者はこう分析している。下水道が完備され「どうせきちんと処理されるだろうから」と思っているのかもしれないと▼おこがましくも「満濃池」の逸話を引いてみたい。香川県にある日本最大のかんがい用ため池だ。その昔に空海が大修復工事を手掛け、利用するためのルールを定めた▼有名なのが「線香水」。約3千の農家に公平になるよう一つの田につき線香1本が燃え尽きるまでの間、水を流したのだった。自然の循環によって貴重な水があり、水利施設に知恵の歴史がある。思い起こそう。

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