福井大学などが実用化を目指す、超小型画像投影装置を装着した次世代スマートグラスのイメージ(福井大産学官連携本部提供)

 福井大学と福井県、日本原子力機構は1日、「次世代スマートグラス」を実用化する連携研究が文部科学省の地域創生事業に採択されたと発表した。同大が世界で初めて開発した超小型画像投影装置を米粒サイズまで小型化させ、網膜に直接映像を映し出す眼鏡の製品化を目指す。弱視者の視力補助などの医療分野や、原子力などの産業界で実用化し、福井県の新たなイノベーション(技術革新)産業として地域創生につなげる。

 採択されたのは地域の技術を生かした挑戦的な研究開発を支援する文部科学省の「地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」で、2021年までの5年間で約6億円の補助を受ける。

 超小型の画像投影装置は同大産学官連携本部の勝山俊夫客員教授が12年に開発し、15年に同大が特許を取得した。

 光の3原色の赤、緑、青のレーザーを合わせて画像を作る装置は、これまで鏡やレンズの使用が不可欠で小型化に限界があった。同大は数ミクロンの極薄ガラス基板を活用して3原色のレーザーを合わせることに成功、装置の飛躍的な小型化が可能になった。

 現時点で、従来型に比べ約100分の1となる、長さ11ミリ、幅4ミリ、厚さ5ミリまで小型化に成功。今後長さ6ミリ、幅3ミリ、厚さ2ミリの超小型化を目指す。

 装置は眼鏡のテンプル(つる)に埋め込み、光ビームをレンズ部分で反射させ、映像を直接網膜に投影。レンズ部分に画像を映すタイプに比べ、常に焦点が合う利点がある。

 小型カメラを取り付け、その映像を網膜に映して弱視者の補助にする眼鏡は早ければ1年後には製品化する計画。さらに5年以内に、医療分野で外科手術を映像で補助したり、産業界の機器メンテナンスでマニュアルを映したりする眼鏡を開発。将来的には原子力産業の廃炉分野で作業環境の放射線量の可視化などにも生かしたい考え。

 市場規模は、画像投影装置だけで弱視者用で10億円、医療・産業用では数百億円に上るという。記者会見した事業プロデューサーで、同大産学官連携本部の小杉裕昭客員教授は「十分な需要がある分野。数百億円の市場でどの程度のシェアを確保できるかが鍵になる」とし、福井県での産業創出に意欲を示した。

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