福井県埋蔵文化財調査センターは二日、二○○六年十一月から今年七月まで発掘調査を行った「ユリ遺跡」=若狭町鳥浜=の縄文時代後期ごろ(四千―三千年前)の地層から、丸木舟五隻が見つかったと発表した。同遺跡では以前の調査でも、今回の発掘現場近くから四隻の丸木舟が見つかっている。これだけの狭い範囲で計九隻もの丸木舟が見つかるのは国内でもほとんど例がなく、当時の暮らしぶりを知る上で貴重な資料という。

 発見された丸木舟は傷みが激しいものもあり、現存する大きさは長さ二・一六―四・七四メートル、幅は二十九―三十七センチ。材質は杉とみられる。定員は一、二人で、大きさや舟べりの低い作りから海で利用するための舟ではなく、波が穏やかな湾内や湖での移動や漁に利用したと考えられる。

 約二千平方メートルの調査範囲の東から西にかけ、約七十メートルの範囲で五隻が点在するように見つかった。表面には石器でも加工しやすいように、炭化させた跡があった。▽舟の先と後部が破損している▽五隻の発見位置に規則性がない▽同じ場所から土器片が見つかっただけで石器が見つからず生活の跡がない―などの理由から、同センターでは舟は近くで廃棄され、当時湖の岸辺だった発掘現場まで流れ着いたとみている。

 県内での丸木舟の発見は、一九九○―九一年の同遺跡の調査以来。三方湖周辺では、九○年以前に鳥浜貝塚で見つかった二隻を含め計十一隻となった。五隻の丸木舟は来週にも保存処理作業に入る。早ければ本年度内にも正確な年代を確定し、展示公開する予定。

 敦賀短大の網谷克彦教授(52)は「遺跡の価値を高める重要な発見。近くの鳥浜貝塚でも丸木舟が見つかっており、古三方湖の周りの当時の住民は、生活の中で舟を活発に利用していたことを裏付ける資料となる」と解説した。

 同センターによると、丸木舟は国内で昨夏までに百十七隻が見つかっている。

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