【越山若水】中国には古い出来事を教訓にした「故事成語」が伝わっている。日本でもよく知られた言葉も数多い。例えばトラとキツネに関する「虎の威を借(か)る狐(きつね)」がある▼屈強なトラの威光をかさに着て威張るキツネのずるさを表現したもの。やはりトラは強さの象徴であり、強い者がさらに力を付けることを「為虎傅翼(いこふよく)」という▼一方、キツネを含む言葉の「狐疑逡巡(こぎしゅんじゅん)」は、グズグズとして思い切りが悪い様子を意味する。いかにもうたぐり深くずる賢いキツネの印象をうまく言い当てている▼トランプ米大統領は中国に対し、ついに堪忍袋の緒が切れたようだ。北朝鮮が弾道ミサイル発射を繰り返していることで、ツイッターで「中国は口先だけで、何もしていない」と不満をあらわにした▼国連安保理決議を無視して暴走する北を抑えるため、米国は中国の圧力がカギを握るとみて協力を訴えてきた。ところが経済制裁は表面を取り繕うだけで一向に効果がない▼北朝鮮にとって中国は頼りがいがあるトラ。そのトラがキツネみたいに決断できずためらっている。トランプ氏は故事成語「狐疑逡巡」を突き付けた▼選挙公約に掲げた中国の為替操作国指定や、中国製鉄鋼の関税強化など強硬路線も辞さない構え。さらには北朝鮮への軍事力行使の可能性さえちらつかせる。各国、最悪のシナリオもテーブルに載っているという。

関連記事
あわせて読みたい