結城秀康が越知山に奉納した刀=28日、福井市立郷土歴史博物館

 「贈答」をキーワードに、越前松平家ゆかりの美術工芸品を紹介する夏季特別陳列「お殿様のおくりもの」が、福井市立郷土歴史博物館で開かれている。刀や書画など39点が展示され、贈り物が結んだ福井藩主とさまざまな人たちのつながりや、物に託された心のやりとりがうかがえる。8月27日まで。

 展示は▽当時11歳の春嶽が16代福井藩主に就任した際に受けた「少年藩主へのおくりもの」▽お殿様へのおくりもの▽お殿様からのおくりもの―の3テーマで構成している。

 目玉は県内初公開の薩摩切子の鉢。透明なガラスに紅色ガラスをかぶせ、斜め格子や菊花などの文様をあしらっている。紅色のガラスは薩摩藩が日本で初めて製造に成功した名品で、薩摩藩から親交の深かった越前松平家に贈られた可能性があるという。使用した形跡がなく、貴重な品として大切にされてきたことがうかがえる。

 泰澄が開いたとされる山岳霊場、越知山に初代藩主結城秀康が奉納したという刀(江戸時代初期)は、柄や鞘(さや)、つばなどのこしらえに銀を使っており、気品のある輝きを放っている。

 他に春嶽が就任あいさつのときに前将軍徳川家斉(いえなり)と将軍家慶(いえよし)から拝領した銀製の細工物、14代藩主斉承(なりつぐ)夫人浅姫から藩医へのお礼とされた帷子(かたびら)(麻の着物)、4代藩主光通(みつみち)が大安禅寺開山の際に迎えた臨済宗の名僧大愚宗築(たいぐそうちく)に親愛の印として贈ったとされる釈迦三尊図(狩野探幽(かのうたんゆう)作)などが並ぶ。

 学芸員の藤原千穂さんは「信頼、感謝、激励など贈り物にはさまざまな思いが込められている。物を通した交流や心の触れ合いを見てほしい」と話している。クイズラリーもあり、参加すると展示品のシールがもらえる。

 観覧料400円。学芸員による展示解説が5日、20日の午後2時から行われる。

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