7月28日は「世界肝炎デー」。近年、肝臓に中性脂肪が蓄積する脂肪肝のうち、飲酒を誘因としない脂肪肝から発症する「非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)」の罹患(りかん)者が増えている。ウイルス性肝炎と同様に肝硬変、肝がんへと進行するケースがあり注意が必要だという。福井県内の専門医は「脂肪肝は自覚症状がないため放っておく人も多いが、甘く見てはならない。生活習慣の改善が重要」と訴える。

 国内では人間ドックを受けた3人に1人に肝機能障害があり、そのほとんどが脂肪肝によると推計されている。脂肪肝はアルコールの飲み過ぎや食べ過ぎ、肥満、運動不足、ストレスなど生活習慣の乱れが原因となる。アルコールの多飲が原因かそうでないかで、アルコール性、非アルコール性に大別される。

 非アルコール性脂肪肝を含む「非アルコール性脂肪性肝疾患」は、過食や運動不足などにより、肥満や糖尿病などの生活習慣病と合併して発症する。国内に1千万人から2千万人いるとされ、そのうち10%程度の100~200万人が、肝炎のNASHと推定されている。女性は特に40~50代以降に増え、閉経後にかかるケースが目立つという。

 県内で唯一、国の「肝疾患診療連携拠点病院」の指定を受けている県済生会病院(福井市)の野ツ俣和夫・肝疾患センター長は「NASHは5~10年後に、5~20%の人が肝硬変に移行する。脂肪肝といっても油断はできない」と語る。ほとんど自覚症状のないうちに重い病気へと進行する場合もあり、早期発見、早期対策が重要になる。メタボとの合併率が高く、腹部エコーや血液検査、肝臓の硬さと脂肪蓄積量を測定するフィブロスキャンなどで診断する。

 国内では以前、肝がんの原因の約9割がB型、C型の肝炎ウイルスによるものだったが、現在のウイルス性肝炎は投薬治療で制御でき、特にC型肝炎はほぼ100%完治が見込める薬が登場した。代わってNASHが肝がんの原因として年々増加している。治験は進んでいるものの、NASHに特効薬といわれるものはなく、治療は生活習慣の改善が基本となる。野ツ俣センター長は「食事の改善、適度な運動が何より大事。脂肪肝や予備軍の人はしっかり予防してほしい」と話している。

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