尺アユを狙い、九頭竜川のそばで寝泊まりする矢口勝利さん。テントや車には冷蔵庫や調理器具がそろっている=福井県勝山市内

 アユ釣りの“聖地”福井県勝山市の九頭竜川で、埼玉県の72歳の男性が釣り人生の最後を飾ろうと、体長30センチ超えの尺アユ釣りに体を張って挑戦している。毎年2カ月もの期間、川沿いに張ったテントで自炊し、車中泊を繰り返しすでに9年目。昨年はあと一歩大きさが足りず持ち越した。男性は「尺アユは長年のあこがれで人生目標。足腰は弱っているが、釣れるまで頑張る」と、その瞬間を夢見ている。

 男性はアユ釣り歴40年のベテラン矢口勝利さん(72)=埼玉県川越市。仕事をしていたころは関東近郊でアユ釣りをしていたが、8年前、高速道路の「休日(土日祝日)上限千円」が始まったのを機に、シーズン中の金曜夜から日曜にかけ九頭竜川通いが始まった。

 関東でも、型が大きい九頭竜川のアユは有名。特に勝山のアユにほれこんだ。「大きさ、厚み、美しさ、味のよさすべてがそろっている」と熱弁する。

 65歳の定年後は長期間寝泊まりする現在のスタイルに転換。7月から9月中旬まで熱中する。

 狙うは友釣りでの尺アユだ。「引きの手応えに尽きる。友釣りでの魚との格闘は最高。今年こそ尺サイズを釣りたい」

 昨年は諦めかけていた8月31日に過去最大の28・5センチを釣り上げた。その前年には27センチ。年々夢に近づいているものの天然遡上が遅れているせいか、今年は釣果がおもわしくないと眉をひそめる。

 年齢も重ね、腰まで水につかる友釣りは厳しくなってきた。疲れやすい体質の上、「足腰が弱って流れの中心で竿を構えるのはつらくなってきた」。釣り人生のピリオドへ、尺アユを―。友釣りにかける思いをますます強くしている。

 シーズンを長期間過ごすうちに仲間もできた。京都、滋賀、福井県内の同年代の仲間6、7人と川へ入り、釣ったアユをふるまう。家族も趣味を理解し、長男が孫を連れ現地へキャンプに訪れ応援してくれるという。

 目的を達成した際には「大物は魚拓にしてきたが、剥製にしてそばに置きたい」と決めている。

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