記者会見で恐竜の歯化石を掲げる酒井佑輔学芸員=20日、福井県大野市役所

 「ついに、ここでも恐竜化石を発掘することができた」。福井県大野市東勝原で恐竜の化石を見つけた同市文化財保護室の酒井佑輔学芸員(28)=永平寺町=は、喜びをかみしめた。新潟大在学中から福井県や石川県などで手取層群の分布具合を調査。2013年からは同市の下山―東勝原間に広がる伊月層を調べ、実りを得た。

 大野市産の恐竜化石は、鳥脚類恐竜の足跡(1989年、下半原)や、ティラノサウルス類の歯(96年、同)などがあり、いずれも和泉地区で見つかっている。市は08年に化石保護規則を制定。恐竜や植物、貝などの化石が見つかっている24地点を保護区域に指定した。

 東勝原は保護区域の指定外だったものの、学生時代から独自に調べて集めた基礎データから「東勝原でも重大な化石が出る可能性が高い」と推測。同じく伊月層が分布しているとみて恐竜化石を発掘調査する別の研究者もいたが、発見には至っていなかった。

 「恐竜化石が出る他の自治体の地層とよく似ていた」と酒井さん。手で掘ると、恐竜など脊椎動物の化石を含む可能性の高さを示す亀の化石が出てきたという。「絶対に恐竜化石が出る」と何度も足を運び、昨年7月下旬に恐竜の歯の化石を発見。「直感で何かの歯だと思った。クリーニングを進めるうちに恐竜の歯と確信した」

 小さいころから自然が大好きだった。小学6年の時に勝山市の県立恐竜博物館を訪れ「身近な場所で恐竜の化石が出ることを知ってびっくりした。その世界に入るのが夢となった」。大学で地質などを学び「学生時代に大野市にお世話になった。得た知識を大野に還元したい」と同市の学芸員に進んだ。学芸員となった15年以降、市内唯一の専門家として1人で発掘調査を続けた。

 今回の発見で、これまで同市で和泉地区のみとされてきた“恐竜化石の宝庫”が広がりを見せた。「市街地ではまだまだ恐竜化石への関心は薄いけれど、これを機に興味を持ってもらえたら」と話している。

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 福井県大野市は20日、同市東勝原に分布する約1億3千万年前(白亜紀前期)の手取層群伊月(いつき)層から、鳥脚類恐竜の歯の化石1点が見つかったと発表した。伊月層は恐竜化石を含む地層としては国内最古級。同市ではこれまで和泉地区の伊月層で恐竜の足跡や歯化石が見つかっており、化石発掘の“舞台”が広がった。

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