【論説】厚生労働省が発表した2016年国民生活基礎調査で「子どもの貧困率」は15年時点で13・9%だった。過去最悪だった前回12年から2・4ポイント下がり、12年ぶりに改善した。ただ、7人に1人の割合は、先進国の中ではなお高水準にあり、対策が欠かせない。

 厚労省は雇用状況が良くなり、親の所得が増えたことを要因に挙げている。だが、ひとり親世帯の貧困率は50・8%に上る。母子家庭では「借金がある」「貯蓄がない」と答えた割合が前回より増え、「生活が苦しい」という割合も82・7%に達するなど、きめ細かな実態把握、寄り添うような対策が必要だ。

 貧困率は、18歳未満の子どものうち、平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす子の割合で、今回は122万円以下の世帯がこれに相当。母子家庭を中心としたひとり親世帯は経済的に余裕がなく、厳しい状況に置かれている。

 その結果、子どもの食生活や学習に影響が出ることが指摘されている。インスタント食品などに頼りがちになり、栄養バランスが偏ってしまう。親が掛け持ちで働く家庭では、子どもだけの生活となり、勉強が身につかないケースも少なくないという。

 こうした生活が続くと、進学できなかったり、就職でも不利になったりし、成人しても貧しさから抜け出せず、それがまた次の世代へと引き継がれる「貧困の連鎖」に陥りかねない。

 無料か格安で食事を振る舞う「こども食堂」は、福井県を含め全国的に民間団体などが取り組んでおり、「子どもの居場所」として活用されている。また無料で勉強を教える塾などの活動も広がっている。

 今回、貧困率が改善したことを受け菅義偉官房長官は、アベノミクスの成果を殊更強調したが、再び景気が悪化すれば貧困率の上昇につながる恐れがある。いまだに苦しい生活を強いられるひとり親世帯、母子家庭は少なくない。

 子どもの貧困に詳しい首都大学の阿部彩教授は公表結果を受け「喜ばしい」としたものの、「改善したから支援をカットし、対策は終わりでは困る」とくぎを刺した。ボランティアや地域頼みだけでなく、公的な支援の拡充も欠かせない。

 政府は14年に子どもの貧困対策推進法、15年には生活保護の手前の人を対象に生活困窮者自立支援法を施行するなど対策を進めているが、まだまだ足りない。17年度に初めて実施した返還不要の給付型奨学金制度は、さらなる拡充が必要だろう。

 一方で、子どもがいじめに遭わないようにと洋服などには気を使ったり、100円ショップの商品で体裁を取り繕ったりするなど、現代の貧困は見えにくいとの指摘もある。経済状況以外にも、食事や教育、社会的つながりなども捉えた上で、対策を講じるべきだ。
 

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