【論説】チャンスを物にできない民進党。たとえ解党的出直しを図ったとしても再生は難しい。このままでは自壊し始めた「安倍1強」政権に取って代わることはできない。困難を切り開く「国民政党」へ脱皮する覚悟が必要であり、もっと泥臭く、全国をかけずり回って住民の声を聞くべきだ。

 民進党の弱さを決定づけたのは先の都議選だった。

 学校法人「加計(かけ)学園」問題や閣僚の相次ぐ失言、若手の不祥事が象徴するように、「驕(おご)る安倍政権」の体質が一挙に噴き出し、自民党支持率が急降下。自民党の惨敗は火を見るより明らかだった。

 安倍晋三首相の「不敗神話」を崩したのは地域政党「都民ファーストの会」だ。民進党は受け皿になれず完全に埋没。公認候補の離党も相次ぎ、告示前の7議席から5議席に沈んだ。

 なぜ、民進党が支持されないのだろうか。それは鮮度も、わくわくする魅力も、求心力も、団結力も足りないからである。

 責任論が出た蓮舫代表は続投を表明。選挙総括へ地域ごとの所属議員と意見交換するブロック会議を開始した。台湾との「二重国籍」問題を決着させ、支持回復を図りたいようだが、言い訳などせずじっくり地方の声を聞く必要がある。

 蓮舫氏は昨年9月、党代表選で実力者の前原誠司元外相らを大差で破り、高い知名度から党勢回復の期待が高まった。だが、政党支持率は1桁に低迷し、安倍政権の「敵失」でも浮上し切れないでいる。

 国会審議では「森友」「加計」問題などで政権を厳しく糾弾、力を見せたのは間違いない。だが「単に追及するだけの野党」というイメージから離れない。政権に対抗し得る具体的政策が見えにくいからだ。

 原因は寄り合い所帯体質にある。憲法や防衛、原子力問題といった重要政策も軸が定まらず、考え方がバラバラ。国民は前身の民主党政権が迷走の果てに3年間で政権を奪い返された失敗を忘れていない。その失望感は「支持政党なし」に収れんされていくのだ。

 自壊という意味では民進党の方が深刻である。共産党との野党共闘にも拒否反応は強く、防衛政策通の長島昭久衆院議員が離党、政調会長代理の藤末健三参院議員も離党届を提出し、横山博幸衆院議員が離党検討を表明した。

 4月には代表代行を務めていた細野豪志元環境相が憲法論議への対応を批判して辞任。若手から体制刷新を求められた野田佳彦幹事長も辞任の意向を漏らす。

 しかし、一過性の懸念もある「小池新党」に過度の期待はできない。野党第1党の民進党が踏ん張らなければ、国政は劣化するばかりだ。大企業、大都市中心の経済偏重政策では地方創生など実現しない。国民はそれに気づいている。

 教育や医療・福祉、働き方改革、循環型社会形成など、未来を見据えた実効性のある政策を打ち出す責務がある。永田町や霞が関の論理ではなく、国民目線で政治を再構築すべきだ。
 

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