【越山若水】「さんま、さんま/さんま苦いか塩っぱいか」と佐藤春夫に歌われたほどだから、サンマは日本の魚。と思うのは早計で、実は太平洋の真ん中の公海に棲(す)んでいる▼夏から秋にかけ、産卵のために南下する。西へ回遊すれば日本沿岸も通る。それを捕っているのが日本の漁船だ。ところが回遊量が減り一昨年から不漁に泣く▼公海では、どの国も好きなだけ捕れる。なかでも進出が著しいのが、中国だ。船を大型化し、はるばる出掛けて一網打尽に。この5年間で漁獲量を30倍に伸ばした▼生鮮サンマや加工品を輸出する台湾も活発だ。一番の水揚げを誇った日本の1・5倍に増やした。なぜこうなったか。公海での乱獲で魚が減ったからだ、とみるのが日本である▼8カ国・地域が参加する北太平洋漁業委員会が、札幌市で始まった。日本はサンマの漁獲枠を国別に設ける提案をした。捕る量を制限し、資源を枯渇させないようにする意図だ▼折も折、東京・築地市場には北海道沖で取れたサンマが初入荷した。その量は昨年の8倍近く。うれしい話だが、資源枯渇を心配する主張からすればちぐはぐになった▼専門家によれば、マイワシなどと比べればサンマの資源量にはまだ余裕があるらしい。けれど巨大な胃袋を持つ中国がいまの勢いで捕り続けたら…。難航必至の協議だが、サンマだからといって苦い結論は困る。

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