勝山容疑者が経営する美術刀剣専門店を家宅捜索する捜査員=2016年5月18日、福井市

 客から預かった日本刀を返却しなかったとして福井市の業者の男が業務上横領などの罪に問われている事件で、複数の客に対し修理などの代金支払いを求める催告書が業者側から送られていることが13日、被害者の会への取材で分かった。代金に迷惑料名目で数十万円を加算した上、支払わない場合は刀の所有権を業者側に移転するといった一方的な内容。一連の横領事件の発端になったものと同様の手法で、被害者の会の久田浩誌弁護士=京都市=は「誤認や困惑を誘発する内容」とし、刀剣愛好家らに応じないよう注意を呼び掛けている。

 業務上横領などの罪に問われているのは福井市、刀剣類販売・修理会社「勝山剣光堂」代表取締役勝山智充被告(48)=公判中。催告書は3月から6月にかけて、被告名や同社の名前で複数の刀剣愛好家に送られている。本人は勾留中のため、被告の関係者が送っている可能性がある。

 愛知県の男性にはメールで催告書が届いた。銀のハバキ(刀の金具)作製10万円に、トラブル解決代金などとして30万円を加えた40万円を請求。金融機関の3営業日以内に支払いを完了させないと「所有権は債権者(業者側)に移転して契約を終了する。その後はいかなる理由でも回復しない」などとしている。神奈川県の男性には同様の内容の催告書が「内容証明郵便」で送られた。

 法外な請求をし、支払わなければ刀を返却しないという手法は、一連の事件の発端となったトラブルと同様。40万円を請求されている愛知県の男性は「ハバキの作製は一般的な相場では2万~3万円程度。トラブル解決の依頼もしていない。勝手な脅し文句で脅迫行為ではないか」と困惑している。

 また、業者側に刀などの返還を求めた集団民事訴訟に関連し福井地裁は、今月14日までに代金と引き換えに3人に対して刀を返還するよう命じる決定を出している。客の代理人の西村雄大弁護士=大阪市=が返還の手続きに入ったところ「期日までに(刑事裁判の被告の)釈放手続きを手配すること」などの条件を業者側が提示。さらに期日を過ぎた場合は「代物弁済を正式に確定する」「期日後の強制執行には応じない」と主張してきたという。裁判所が行う強制執行を妨害すると、強制執行妨害罪などに問われる。

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