事業化から27年。中部縦貫道永平寺大野道路で最後の未開通区間だった永平寺―上志比(5・3キロ)が8日供用開始となり、道路が全線開通する。沿線の大野、勝山市、永平寺町の住民、自治体は開通をどう受け止めるのか取材した。

 

ツアー客でごったがえす白山平泉寺境内=6月24日、勝山市平泉寺町平泉寺

 「福井にこんな場所があったなんて」「パンフレットの写真で初めて知った」―。6月24日、勝山市の白山平泉寺に中京、関西から観光ツアー客が押し寄せた。その数、1650人。人であふれかえる境内に「こんなことは記憶がない」と地元が驚いた。

 県外からの観光客にとって県立恐竜博物館(勝山市)、「天空の城」として知られる越前大野城(大野市)の知名度は高いが、白山平泉寺はまだまだ知られていない“穴場”。白山開山1300年を迎え、にわかに脚光が当たった形だ。

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 昨年の奥越2市の観光客入り込み数は、大野市が旧和泉村と合併した2005年以降で最多の212万9800人、勝山市が199万5138人。2市だけで県全体の入り込み数の4分の1を占めるまでになった。

 中部縦貫自動車道「永平寺大野道路」の全線開通は奥越観光のさらなる弾みにつながるとみる旅行業者は多い。

 「奥越での滞在時間や立ち寄り先が増えるのは確実」と話すのは大手旅行会社に商品を提案する一般社団法人、地域・観光マネジメント(南越前町)福井オフィス長の深尾和宏さん(43)。これまでは大本山永平寺と白山平泉寺のどちらかしかツアーに組み込むことが難しかったが、選択肢が増える。白山平泉寺へのツアー人気は奥越観光が持つ「伸びしろ」をうかがわせる事例にも映る。

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(図=)中部縦貫自動車道の開通区間

福井市、県外とつながる永平寺大野道路がもたらす恩恵は、観光面だけに限らない。
 

 勝山市が4月に新設したふるさと創生・移住課では「市内の企業は人手不足。福井市から(勝山へ)通勤することも選択肢として出てくる」(米村衛課長)と期待する。
 

 さらに、勝山~福井の通勤、移動時間が短くなることで「都会からのUターンも増えるのでは」(同)と意気込む。

 人口減が進む中、U・Iターン者、観光客の増加や観光業への産業転換を狙う2市。

 道路の「発着点」となる大野市の岡田高大市長も「交流人口が増え、まちに新たな活力が生まれれば」と話し、地方創生へつなげたい考えは勝山市と同じだ。