【論説】高浜町が間伐材を活用する「木質バイオマス熱電併給事業」の導入を目指している。小規模施設でも採算性を上げるため熱利用と発電の併用を計画しており、発電には燃料効率のよいガス化方式を採用する方針。ただガス化は燃料となるチップの製造が難しく、嶺南の木材が適応するかが鍵。検証作業を行う本年度が大きなヤマ場となる。

 同事業は2013年度、治山や雇用創出などを目的に検討が始まった。若狭地域にはまだバイオマス施設はなく、実現すれば間伐推進による地域の森林保全に貢献できる。

 ただ、嶺南の山から算出される間伐材の量が年間4千立方メートル程度と少なく、発電できるのは毎時約200キロワット。当初の補助制度では5千キロワット以上が適用の条件で、一時は採算性が危うくなったこともあったが、固定価格買い取り制度(FIT)の改善により見通しが明るくなった。

 事業はチップの加工、発電、熱利用に分かれる。間伐材をチップにして乾燥させ、そのチップを燃料に発電し関西電力に販売する一方、湯を沸かして同町の道の駅温浴施設「湯っぷる」などに使う。

 町が行った採算性に関する調査によると、発電の年間の利益は24万6千円、熱利用は18万円とはじき出された。採算はとれるとの計算だが、額が少ないだけに年によって赤字となる可能性があるため、町ではさらに改善を検討中だ。

 また、町内への波及効果という観点からみると、チップに使う間伐材の買い取りで、森林組合に年間約500万の売り上げが見込めるほか、同温浴施設では同約240万円の経費節減が図れる。事業本体の採算さえとれれば意義は大きいと言える。

 嶺北などの施設に比べ間伐材の量が少なく、施設は小規模にならざるを得ないため、熱利用と発電を同時に行う「熱電併給」により採算性を上げることが必要になる。また少しでも熱効率を良くするため、一般にバイオマス発電で使われる蒸気タービンによる発電ではなく、チップで発生させたガスでエンジンを動かす「ガス化発電」の方式を模索している。

 ガス化は蒸気タービンに比べチップの乾燥度合いを大幅に上げる必要があり、これを実現できるかが事業成否の鍵となる。林野庁などによるとガス化方式の施設は県内にはなく、全国でも一桁と少ない。

 ポイントはチップの含水率ということで、湿度の高い日本海側に位置する嶺南地方の樹木が、どれだけガス化の燃料チップとして活用できるかは未知数。町では本年度、チップの検証事業に着手するが、結果がどう出るかが注目される。
 

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