福井市内循環鉄道3ルート案

 福井市のJR福井駅西口広場に延伸された福井鉄道福井駅前線(通称ヒゲ線)のレールをさらに延ばし、市街地をぐるりと一周する循環鉄道の可能性調査結果が明らかになった。お泉水通りを左折し、さくら通り、松本通り、合庁前通りからフェニックス通りを東西に結ぶ3ルートが検討可能とした。運行形態は反時計回りの単線走行を想定している。3日の福井県議会総務教育常任委員会で理事者が報告した。

 循環鉄道が実現すれば、福井駅停留場への乗り入れ本数が増加。車の運転ができないお年寄りの外出機会や社会参加が増えることで社会保障関係費の抑制につながり、郊外から都心への回帰、中心市街地のにぎわい創出、地球温暖化防止の効果が期待できる。ただ事業費は、車両購入費や用地・補償費を含まない段階で39億~47億円を見込む。県は、今回の調査結果をまちづくりの主体である市や運行主体の鉄道事業者と議論する際の基礎資料と位置付けており、事業化の可否は不透明だ。

 宝永交差点を左折する「さくら通りルート」(新設軌道1・4キロ、事業費39億円)は、中心市街地内を循環し、県国際交流会館や養浩館庭園、市立郷土歴史博物館など主要文化施設へのアクセス需要も期待できるという。1日当たりの新たな利用客は132人を見込んでいる。

 松本交差点を左折する「松本通りルート」(新設軌道1・8キロ、事業費45億円)と、合庁入口交差点から左に入る「合庁前通りルート」(新設軌道1・9キロ、事業費47億円)は、市の立地適正化計画で商業や業務、医療・福祉などの都市機能を計画的に誘導・集約していくエリアとして位置付けられた「都市機能誘導区域」内を循環する。このため1日当たりの新たな利用客は松本通りルートが223人、合庁前通りルートが最多の228人を見込んでいる。

 一方で、道路への影響としては▽さくら通りルートは車線が減り、歩道幅員も減少▽松本通りルートは歩道幅員が減少▽合庁前ルートは車線が一方通行になる―とした。いずれも、鉄道車両がスムーズに左折するために建物などの物件移転が必要とした。

 総務教育常任委で県交通まちづくり課の猪嶋宏記課長は「現時点では整備について議論する段階ではない。市の立地適正化計画などの実現に当たり、高齢化や人口減の進展の中で、まちなかににぎわいを生み出す施設や、まちなか居住を促す施設の誘導、そのための交通基盤整備をどうすべきか、市と協議する際の基礎資料としたい」とした。

 西本恵一委員(公明)や野田富久委員(民進・みらい)からは「机上の空論。今後の議論に役に立つのか」などと厳しい意見が相次いだ。さらに野田委員は「福井城址公園などの整備が進む中、循環鉄道はまち歩きを楽しむ回遊性の視点が欠落しているのではないか」などと指摘した。

関連記事
あわせて読みたい