みこしに入った弁財天を喜ばせるため、船上で海へ落とし合う若者たち=8日、福井県美浜町の沿岸

 福井県美浜町久々子に伝わる豊漁や豊作を願う海の神事「弁天祭」が8日、同区の宗像(むなかた)神社などで行われた。ご神体の弁財天を載せたみこしが海上を渡御。船上では女神を喜ばせるため、担ぎ手の若者たちが互いに荒っぽく海に落とし合うなど、勇壮な伝統の祭りを繰り広げた。

 弁天祭は1200年ほど前、弘法大師がこの地を訪れ、漁師や農民を苦しめていた大蛇を退治し、女神の弁財天を祭ったのが由来とされる。

 みこしを保管している区内の佐支(さき)神社から、若者23人がみこしを担ぎ久々子海岸で船に載せた。約500メートル離れた西側の弁天岬の宗像神社を目指し出航。手こぎでゆっくりと船を進め、五色の吹き流しをなびかせながら15分ほどで着岸した。同神社で神事を行った後、若者たちが太鼓や笛でにぎやかな囃子(はやし)を響かせる中、ご神体をみこしの中に招き入れた。再びみこしを船に載せ、久々子海岸に向かった。

 海岸に着くまで、若者たちが船上から海に落とし合う光景が祭りの最大の見せ場。弁財天を喜ばせようと、押し合い、もみ合いの“乱戦”が繰り広げられ、若者たちは豪快な水しぶきを上げて何度もダイブ。海岸では見物客らが歓声を上げた。

 着岸後、みこしを担いで区内を威勢良く練り歩き、区民らは海の安全や豊漁、豊作を願った。夜には祭りのために建てられた「御(お)仮屋(かりや)」に仮安置された。

 祭りに立ち会った今村義則区長(64)は「弁天祭は久々子の浜辺の夏を迎えるための風物詩。海水浴シーズンがもうすぐ到来する」と話していた。

 9日は午前中に子どもみこしが区内を練り歩き、午後からはご神体を載せたみこしが一巡。夕方に再び船に載せ、宗像神社に戻される。

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