【論説】レール幅の異なる新幹線区間と在来線区間を走行できるフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)は、果たして実用化されるのだろうか。導入予定の九州新幹線長崎ルート(博多-長崎)では、運営主体のJR九州が維持コスト高などを理由に導入見送りを含め、採算性を独自に検証することになった。

 一方、開発を推し進める国は引き続き検討する意向だ。開発が遅れているFGTは、北陸新幹線の延伸ルートでも採用構想があるため、JR西日本も導入できるかどうかの結論をできるだけ早く出すべきだろう。

 FGTは、1997年から本格的な研究が始まり、これまでに約500億円の開発費が投じられた。新幹線区間で時速270キロ、在来線区間で130キロの目標速度を達成したが、車軸の摩耗や軸受けにひびが入る不具合が見つかり、2年以上、耐久性能を確かめる走行試験を中断している。

 長崎ルートでは、まず在来線と新幹線を乗り継ぐ「リレー方式」による2022年度の暫定開業と、FGTを本格導入した25年度以降の全面開業を目指している。

 その成功の鍵を握るFGTは、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が今も開発中だ。車輪の摩耗対策などの改善策を施し、今年3月まで効果を検証するための走行試験を実施した。中断している本格的な走行試験再開の可否について、国の技術評価委員会は7月中にも判断する見通し。

 ただ、JR九州はFGTの受け入れには慎重な姿勢をみせている。なぜ開発が難航し導入が困難なのか。

 主な課題は▽車軸の摩耗▽高速走行安定性▽コスト(経済性)-の三つあり、JR九州にとって大きなハードルとなるのが経済性だろう。車輪の間隔を変えるFGTの構造は複雑で部品も高額、通常の新幹線に比べ維持・点検費は2・5~3倍に上るとされる。

 JR九州の青柳俊彦社長は6月末の会見で「経済性をわれわれでも試算していく」と強調した。国交省は部品の再利用などをメーカーと検討しコスト減を模索しているが、決定打は見いだせていないようだ。

 北陸新幹線は23年春、敦賀まで延伸する。大阪まで行くには敦賀で特急に乗り換える必要があるが、利便性を考え乗り換えなしでつなげようと、敦賀-新大阪が開業するまでの暫定措置として、九州用のFGTをベースにした寒冷地仕様を導入する計画がある。

 JR九州の動向は、北陸新幹線へのFGT導入計画に大きな影響を与える。県内では敦賀開業後の特急存続を求める動きや並行在来線問題もある。JR西の方針と、国のしっかりした方向性の明示が求められる。

関連記事
あわせて読みたい