勝山市の繊維産業を支えた築百年の木造機業場を綱引きで移動させる全国でも珍しいイベントが七日、同市内で繰り広げられた。市民ら二百八十人が力を合わせ、重さ二百四十トン、延べ床面積千平方メートルの建物を慎重に曳(ひ)き家で動かした。

 この建物は、市が「おりものミュージアム(仮称)」として整備を進めている旧機業場。往時の面影をとどめ市文化財にも指定されており、改修工事などのため三十メートル移動させることにした。

 参加者は、建物につないだ三本の長い綱の両側にずらりと並び、和太鼓のリズムに合わせて一斉に綱引き。建物の下にはレールとローラーが設置されており、”巨体”が滑らかに動き出すと、見守っていた大勢の市民から拍手が起きた。この日は、七回の曳き家で約十六メートル移動。残りは後日専門家らが行う。

 参加者の一人は「この機業場の近くで四十年働いた。思い出深い建物なので力になれてよかった」と感慨深げな様子だった。