「お話会」で姿月ちゃんへの思いを話す矢代恵利さん=福井新聞社

 「子育て中に自分を責めることがあったら、こんなに元気に育てていてすごいと自分をほめてあげて」―。13年前、出産時の医療事故により、生後113日で娘の姿月(しづき)ちゃんを亡くした福井市の認定心理士、矢代恵利さん(42)は、福井新聞社と福井の母親らが運営する子育てグループ「ふくまむ」が開いた「お話会」でこう呼びかけました。わずかの期間ながらも濃密な母子のふれあいと、そこからはぐくんだ強い絆を語り前を向く矢代さんの姿に、集まった母親たちは「子どもがいる、当たり前のようで当たり前ではない幸せ」について思いをはせました。

 姿月は出産時の事故で脳に酸素がいかず、生まれてすぐに別の大きな病院へ搬送されました。初めて対面したのは点滴の管や人工呼吸器を付けた姿。ショックというよりも、いとおしくていとおしくてしかたがありませんでした。お医者さんは「2~3日が山です」と言いました。

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 母乳が出ても与えることができません。生後3日目、胸がカンカンに張り、主治医から「(母乳を)止める薬を出そうか?」と聞かれました。でも、いつか姿月の体の中に入れたい。その可能性を信じ、搾乳をすることに。キッチンで搾乳して冷凍庫へ。毎回、泣きながらの作業でした。

 子どもは動く、笑う、泣く、寝る…。姿月にはその「当たり前」がありません。でも生後10日ごろ、少し体を動かしました。その5日後、母乳を1ミリリットルずつ、鼻のチューブから注入してもらえました。姿月も、当たり前を手に入れるために保育器の中で必死に生きていました。

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