1年を振り返り、会話を弾ませるツイタチビルの中心メンバーたち=大野市元町の同ビル

 大野市元町で若者たちがまちづくりの拠点を目指して空きビルを改修した「ツイタチビル」。オープンから1年を迎え、にぎわいが生まれつつある。ビルが結んだ人の絆が新たな催しにつながる動きも出てきた。若者たちは「一方通行で知っていた人と直接出会って双方向になり、何かが始まる場所になってきた」と話す。

 10年ほど前から使われていなかった3階建てのビルを、建築事務所代表の川端慎哉さん(42)が借り受け、川端さんらがリノベーションした。2階部分にはコミュニティースペース「SONOU(そのう)」を設け、自身の事務所も移設した。

 SONOUは長谷川和俊さん(33)ら3人が運営し、大野について考えるイベント「水源Bar」を月1回ほど開いている。長谷川さんは「常に新しい人との出会いがある。それぞれ『初めまして』から何かが生まれる」と効果を実感している。

 寺の副住職の大門哲爾さん(36)は水源Barで出会った人を通じて、寺でイベントを開くことが決まった。大抵の人が知り合いの知り合いという土地柄だが、何をしている人なのか分からなかったといい「実際にふんわりつながったことで気軽に相談できるような新しい縁ができた」。

 ビルを拠点に活動するのは地元の若者10人。コーヒー豆を販売したり、地元住民から譲り受けた自転車をレンタルしたりと、それぞれの得意分野を生かしている。今年は和洋室4部屋がある3階部分の改修に着手する予定で、各部屋は、起業を考えている若者らに貸し出す構想を描く。

 福井市のイベント会社に勤める桑原圭さん(37)は、友人と協力してビル3階にオフィスを構えようと検討中。「いろんなことをやっている人がビルに集まり、みんなで何かできたら楽しそう」と期待を膨らませる。

 仲間が「若者の芽が育つ場所をつくりたい」と物件探しを始めたのは約5年前。川端さんは「初めはオープンから5年ほどかけて何かできればいいかなと思っていた。だけど今では成長の遅さを感じる」と歯がゆい表情だ。「1階の空きスペースも、誰かが店を開きたいと言い出すような魅力的な空間にしたい。大野でくすぶっている若者とも出会いたい」。10人の熱い思いは尽きることなく、次を見据えている。