越前和紙を巡る産地ツアーで本格的な紙漉きを体験する参加者=28日、福井県越前市の梅田和紙

町並みの風情を感じながら自転車で移動するツアー参加者=28日、福井県越前市

 英文サイト「ECHIWA(エチワ)」で海外に向けて福井の魅力を発信している福井新聞まちづくり企画班は28日、越前和紙を題材にした外国人向けツアーを越前市五箇地域で行った。参加者は製紙所での紙漉(す)き体験、職人との触れ合いを通じ、伝統息づく産地の現場に浸った。町並みサイクリングや寺での昼食も楽しみ、観光だけでは味わえない“本物”のローカル体験に感動していた。

 「まちづくりを取材する記者からまちづくりをする記者に」をモットーに活動する企画班が、海外発信につながる体験の場を実際につくろうと、地元の人たちと協力して開催。県内に住む米国やオーストラリア、台湾などの6人が参加した。海外経験の豊富な写真館経営の畑勝浩さん(52)とデザイナーの三木あいさん(38)=ともに同市=がガイド役を務めた。

 卯立の工芸館(新在家町)で和紙の原料や製法の説明を受けた後、レンタサイクルに乗って手漉き和紙の工房が点在する大滝町へ。今は閉鎖された梅田和紙の製紙所を特別に活用し、本格的な紙漉きを体験した。

 伝統工芸士の村田菜穂さん(40)の指導で、水に溶かした原料のコウゾを桁ですくい上げ、繊維が行き渡るように揺らしていった。厚さにむらができて苦戦する場面もあったが、台湾のコウ・イユウさん(24)は「伝統文化に現地で触れることができ貴重な体験だった」と声を弾ませていた。

 体験の前後には、日本画紙で名高い岩野平三郎製紙所と、家族経営で海外向けの製品開発に挑戦するやなせ和紙で、職人たちの仕事ぶりを見学した。岡太神社・大瀧神社では厳粛な雰囲気の中、日本で唯一の紙祖神・川上御前(かわかみごぜん)について県和紙工業協同組合の石川浩理事長から説明を受け、住民が寄せる特別な信仰を感じ取っていた。

 昼食は、円成寺の本堂で郷土料理を基にした弁当を満喫。自転車での移動中も、古い家並みや道端の地蔵といった風景に目を留め、写真に収めていた。

 米国のジュリア・コスリアンさん(21)は「福井には隠された魅力がいっぱいあると思う。田舎だからこその観光地としての可能性を感じた」と、さまざまな体験に心を打たれた様子だった。

関連記事