【論説】たけふ菊人形の会場として知られる越前市の武生中央公園がこの夏、大きく生まれ変わる。市中心市街地活性化基本計画のエリア内にあり、紫式部公園など観光スポットにも近い。にぎわいを創る起爆剤として、効果的に活用できるよう官民で知恵を絞りたい。

 市民が憩える場所にと、公園内の野球場跡地を市が再整備する中で、同市出身の絵本作家かこさとしさんに監修を依頼。シリーズ作品のキャラクターにちなみメインの広場を「だるまちゃん広場」と名付けた。

 市都市整備課によると、かこさんは「幼児期の武生での体験が創作活動の原点」と快諾、多彩な提案を熱心にしてくれたという。

 県内最大級のトランポリンやスライダー遊具のほか、宇宙がテーマの平面噴水、地球生命の歴史が分かる遊歩道など遊びながら学べる空間に、子どもの夢や想像力を育てたい91歳の思いが込められている。

 併設の「ぱぴぷぺぽー広場」「こうのとり広場」もかこさんが命名。隣接する市文化センターの外壁には「てんぐちゃん」ら人気者が行進する壁画を描く。

 広場の誕生で、より脚光を浴びそうなのが公園の南側にある「ふるさと絵本館石(らく)」だ。かこ作品の原画、複製画や国内外の著名な絵本を収蔵、展示している。

 現在は市道や民家で公園と隔てられているが、市は連絡手段を模索している。実現すれば、南側の紫式部公園へと延びる赤れんがの遊歩道とつながる。

 絵本画家いわさきちひろの「ちひろの生まれた家」記念館とも連携を強めたい。中央公園から700メートル余りで、たんす町通りを挟んでまち歩きの範囲にある。今春、アトリエを再現し、9月には絵本カフェを新設する。紙芝居や和紙といった同市ならではの文化と多角的に融合させたい。

 長野県安曇野にあるちひろ美術館は一帯が公園化され、美術館巡りなど半日コースが人気だ。絵本館や遊歩道周辺でも、カフェや雑貨店など観光客が滞留できる施設を造れないか、知恵の絞りどころだ。

 中央公園では来年の国体競技会場となる総合体育館の整備が進む。かこさんの広場と同じ8月に完成し、各種イベントを予定している。今秋のたけふ菊人形は公園の入場を無料化するため、例年に増してにぎわいが期待される。

 公園の再整備は、スポーツ、憩い、文化―のゾーン構成で、市民の健康づくりや子育て環境向上に主眼を置く。一方で北陸新幹線が南越駅(仮称)に止まる6年後、人の流れを離れた市中心部に呼び寄せる課題への対応も待ったなしだ。

 かこ作品を多く取り入れた公園は、立ち寄りたくなる素材としての力を持つ。周辺地区の住民がランの一種シランを歩道に植栽し、7年かけて「紫蘭(シラン)街道」を整備したように、エリアの魅力を磨き上げたい。
 

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