情報サイト「Dearふくい」の取材で福井の魅力を発掘する江戸しおりさん=福井県池田町志津原のツリーピクニックアドベンチャーいけだ

 「県庁所在地の駅ですら自動改札がないの?」。ライターの江戸しおりさん(25)=東京都=は「よそ者」には新鮮に映る福井のあれこれを、ウェブにつづっている。反論コメントが相次いで“炎上”することもあったが、そこからは福井県民が抱く「無意識の地元愛」を感じたという。「そんな議論が起こるのは、地元に誇りがあるからこそ。福井の人特有のコンプレックスも実は、愛郷心の裏返しじゃないかな」

 福井に来てから、いろんな人に「ようこそ」という言葉をよく掛けられるのが不思議だった。「旅館でもないのになんで」って。移住に対する感謝の気持ちが伝わって、居心地が良かった。「東京からこんなところにまで、よく来てくれたね」という感覚があるのかもしれない。

 福井の人はおおっぴらに「福井が好き」って言わない。すごく謙虚。「福井なんて何もない」って言っちゃったり。でも、例えば「お米がおいしい」って話題になったら、「コシヒカリは福井生まれでね」って急に語り出したりする。やっぱ地元のこと好きなんじゃん、って思う。

 私は田舎出身だけれど、よその人に何か言われても気にならない。福井の人にとっては、福井に生まれたことがすごく重大な事実で、だから何か指摘されたら、過剰に傷ついたり反論したりする。自分は福井が好きなのに、よそからの評価は低くて、その裏返しでコンプレックスを感じるってことなんじゃないかな。

 福井県が幸福度日本一なのは、みんな不満を口にしながらも、根っこでは福井に満足しているからだと思う。結局、私たちが福井で一番感じるのは人の温かさ。人に優しくできるのは余裕があるからで、それって幸せなこと。魅力度は全国的に低いかもしれないけれど、一度滞在してみた私たちは、福井が幸福であることに大きな魅力を感じている。幸福度を守り続ければ、魅力度も上がっていくはず。

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 えど・しおり 千葉県出身。高校卒業後、フランスで菓子作りを学び、パティシエに。2015年度に福井県鯖江市の体験移住事業「ゆるい移住」に参加。16年に情報サイト「Dearふくい」を開設。福井新聞ONLINEでも「ゆるパブコラム」を連載。

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