映画のワンシーン(C)Team八重子のハミング

 4度のがん手術を乗り越えながら、若年性アルツハイマー型認知症の妻を12年間にわたって介護した夫の日々を描いた映画「八重子のハミング」が福井県内で唯一、福井市のテアトルサンクで公開されている。がん闘病や認知症、老老介護といった高齢化が進む現代社会で多くの人が直面する問題を取り上げていることから静かな話題を呼び、封切りから半年以上たった今、上映の動きが全国に広がっている。

⇒津田寛治さんロングインタビュー「天国の母にわびた」【D刊】

 監督は「半落ち」などで知られる佐々部清さん。親交のある福井市出身の俳優、津田寛治さんも「映画で描かれている認知症との向き合い方は福井の人々の優しさに通じるものがある。介護のあり方を考えてもらえたらうれしい」とお勧めの作品。津田さん自身は今作品に出演していないが、自身も認知症の母を亡くしていることなどから「八重子の―」に共感、県民に見てほしいと訴えている。

 映画は、白髪の老人・石崎誠吾(升毅さん)が、若年性認知症を患った妻・八重子(高橋洋子さん)の12年間の介護体験について語る形で展開していく。

 誠吾は、いろいろなことを忘れていく妻に最初は戸惑ったこと、妻がゆっくりと時間をかけて別れを言おうとしていると悟ったこと、そういう出来事すべてを自分の思い出にしようと思ったことなどを回想していく。

 各地で鑑賞した人からは「祖父や祖母にもっともっと優しく触れたり、声をかけたりできたんじゃないかと涙が止まらなかった」「人とのつながりが人生も豊かにするんだろうと感じた」「どんなことになっても妻と最期までいるという思いを改めて強くした」といった感想が寄せられている。

 陽信孝さんの同名小説(小学館)が原作。県内では6月17日から公開が始まった。

関連記事
あわせて読みたい