【論説】森友学園への国有地の格安払い下げや加計学園の獣医学部新設を巡る疑惑には説明を尽くさず、「共謀罪」法では熟議を放棄するなど安倍政権の姿勢に国民が不信を募らせている。共同通信社の世論調査で内閣支持率は44・9%となり、前回5月から10・5ポイントも急落した。特に「首相が信頼できない」が41・9%と4月に比べ16・9ポイントも増え、政権の体質に国民から疑問符を突き付られた形だ。

 共謀罪では与党が委員会採決を省き本会議での採決を強行したことに67・7%が「よくなかった」と回答。加計学園疑惑では「行政がゆがめられたことはない」との政府の説明に73・8%が「納得できない」とした。議論に真正面から向き合わず、議会のルールを軽視し、数の力で押し切る強権姿勢に、国民は批判を強めている。政府は世論に目を向けるべきだ。

 「共謀罪」法案の審議では安倍晋三首相は「丁寧で分かりやすい説明を心掛ける」と述べていたが、金田勝年法相の答弁は質問とかみ合わないばかりか、衆参両院の委員会で与党委員長が官僚を出席させる「禁じ手」を強行。揚げ句「中間報告」による強行採決に踏み切った。委員会中心主義という国の議会制度を否定する愚挙に及んだ。

 森友、加計両学園を巡る疑惑では、首相や首相夫人に近い人物に異例の優遇措置がとられたのではないかという疑念が膨らんだ。首相は野党の指摘に対してまともに答えず「印象操作だ」を繰り返した。やじを飛ばすなど、不誠実さを極める場面もあった。

 森友学園に関しては、「首相から寄付を受けた」と発言した当時の理事長に対して、与党が「首相に対する侮辱だ」とし、国会での証人喚問を行った。一方で、加計学園について「総理のご意向」などと書かれた文書を「本物」と証言した前川喜平・前文部科学事務次官の招致は拒否した。

 加計疑惑に対して会期末が迫る中、文科省が文書の存在を確認。それを打ち消すかのような内閣府の調査結果も出された。山本幸三地方創生相は「総理のご意向」などと言った職員はいないとし、萩生田光一官房副長官が要件の修正を指示した疑いにも「私が指示した」と言い切った。

 世論調査では一連の調査結果で真相が「明らかになったと思う」はわずか9・3%。「思わない」は84・9にも上った。自民、公明支持層でも各76・7%、80・0%が「思わない」と回答。今週後半に告示される都議選への影響回避へと幕引きを図ったつもりだが、影響は少なくないはずだ。

 与党は野党の閉会中審査や証人喚問要求を拒否している。国民の忘却を待っているとしたら、しっぺ返しは必定だろう。行政の透明性と公平性は政権の根幹である。不都合なものにはふたをする安倍政権。国民の不信は増幅するばかりだ。

関連記事
あわせて読みたい