【越山若水】夏の間、歌ってばかりいたキリギリスは冬になって食料に困り、アリに泣きついた。彼らは働き者。キリギリスが遊んでいる間もせっせと食べ物をため込んでいた▼皆さんよくご存じのイソップ物語「アリとキリギリス」を知ったのは物心ついた頃だ。キリギリスはアリにすげなく断られて衰弱死する。それが恐ろしかった▼先々をちゃんと考え、アリのように地道に努力することが大切。物語はそういう教訓なのだろうが、いま読めばキリギリスを突き放すアリが非情に過ぎると感じる▼こちらのアリは、非情どころではない。神戸港に到着したコンテナから見つかった南米原産の「ヒアリ」。攻撃性が強く、毒針に刺されると死に至ることもある。非常に危険だ▼北米やアジアの一部にも定着してしまい、中国・広州市辺りを経て入り込んだらしい。先日は目視で100匹ほどが確認された。ただ、女王アリの姿がないのがむしろ不気味だ▼地面に砂糖を少しまいておくと、アリはいつの間にか群がってくる。行儀良く列をつくり一心不乱に白い粒を運ぶ。うっかりかまれたこともあるが、騒ぐほどではない▼それは日本のアリだから、のようだ。世界には1万種ものアリがいて、なかには虫だろうがヘビだろうが、相手を選ばず骨にしてしまうのも生息している。アリはハチ目。素性を知れば、凶暴なのもうなずける。

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