自身の体験談を交えながら「陽子線で体を切らずにがんを治療しよう」と呼び掛ける作詞家のなかにし氏=18日、福井市

 陽子線でがんを治療し、仕事復帰した作詞家で直木賞作家のなかにし礼さんが18日、福井市のフェニックス・プラザで講演した。自身の体験談を紹介しながら「体を切らずにがんを治す夢のような技術」と述べ、陽子線治療のさらなる利用を呼び掛けた。

 福井県立病院(福井市)が陽子線がん治療センター市民公開講座の特別講師として招いた。約400人が聴講した。

 なかにしさんは2012年に食道がんが見つかり、陽子線治療を受けた。15年に再発したが、抗がん剤治療と陽子線治療で仕事に復帰した。

 「生きるということ~陽子線治療をめぐって~」との演題で講演した。「人間ドックで食道がんが見つかった時には目の前が真っ暗になった」という。医師の多くは手術を勧めたが、持病のある心臓に負担が大きいと自ら判断し、千葉県内の病院で陽子線治療を受けた。「時間は1回30分ほど。痛くもかゆくもなく、吐き気などの副作用もない。働きながら治療を受けられますよ」と太鼓判を押した。

 講演前に県立病院の陽子線がん治療センターを訪れ、病巣の位置を高精度で捉える「CT位置決めシステム」や、複雑な形状をしたがんに正確に照射する「積層原体照射システム」を見学したことに触れ「日本一の技術だと思う。福井県の皆さんはとても幸せです」と感想を述べた。

 さらに「検診をまめに受けることが大事」と念押しした上で、万一がんが見つかった場合「死んだら悪さできない。陽子線治療を受けて長生きしましょう」とユーモアを交えて語った。

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