裏路地の雑然とした雰囲気を残す新栄商店街の「ハカセ通り」=福井市中央1丁目

 昭和レトロな味わいを残す新栄商店街(福井市中央1丁目)の通称「ハカセ通り」は、絵に描いたような裏路地だ。両側の使い込まれた建物には、カフェや居酒屋、花店といった個性あふれる店舗群。手作り感のある立て看板、木製ベンチ、鉢植えが道端に雑然と並び、ディープな魅力がにじみ出ている。

 私有地が組み合わさった幅2・8メートル、長さ31・5メートルの私道。周辺の店主有志が2015年に命名した。セレクトショップ「カゲキ屋雑貨店」(現ベースメントサーカス)の看板犬として長く親しまれ、5年前に病気でこの世を去った「ハカセ」に由来している。店主の若森花さん(50)は「べっぴんで賢くて、店先でみんなにかわいがってもらった」と懐かしむ。

 「汚くて暗いイメージ」だった通りに、ハカセの名が付いてから変化が起きた。店主有志がライブやもちつき、流しそうめん、外壁のペンキ塗りといったイベントを重ね、空き物件には新たな出店者も。若いカップルらが興味深げにふらりと足を踏み入れる光景が日常になった。

 1998年の開業時からエキマエの盛衰を肌で感じてきた若森さん。その多くの時間をハカセとともに過ごした。お座りしたまま振り返る愛らしい姿が目に焼き付いている。面影を浮かべながら、思う。「あのころほのぼのと過ごせたのはハカセのおかげ。亡くなった今も幸せを運んでくれている」

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