【論説】2020年東京五輪の全種目が決まった。昨年のリオデジャネイロ大会の306種目から321種目に増える。野球・ソフトボールなど東京限定を加えると史上最多339種目になる。

 国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が「若者向きで、都会的で、多くの女性が参加する大会」と強調したように、時代に即した点は評価したい。一方で、大会のたびに変わるようなことになれば、ついていけない国・地域も出てこよう。結果的に選手層の厚い強豪国を利することにならないか。

 さらに男子種目を女子に振り替えたり、陸上などで参加枠を大幅削減したりするのは、東京を目標に頑張っている選手にとっては非情にも映る。

 ■新種目に唐突感も■

 「若者向きで、都会的」な種目としては、バスケットボールの3人制や自転車のBMXフリースタイル・パークなどが新たに加わる。前者は国内で選手数も把握できていない。後者は有望選手もいるが強化はこれからという。唐突な感じを持った人も少なくないはずだ。

 ともに米国などで若者の人気を集めているとされる。テレビ視聴を意識した、放映権料やスポンサー企業向けの選択だとするなら、定着するかどうか危うさも残る。

 「都市の一角で行う」という東京大会のコンセプトに合致するものの、既存の会場を使ったとしても設営費や人員増を迫られることは確実で、費用抑制を進める東京都などにとっては頭の痛い話に違いない。

 ■大国が混合独占か■

 東京限定の5競技18種目を除いた321種目でみると、女子選手の割合は48・8%に上る。「男女平等」がほぼ達成されたと言っていい段階にきた。ボクシング、ボートなどで男子種目が女子に振り替えられる。

 特にボートは日本が力を入れる男子軽量級のかじなしフォアが外れたことは、ボート王国・福井にとっても男子選手のモチベーションにも関わってこないかが心配だ。

 陸上や水泳、トライアスロンで混合リレー、卓球で混合ダブルス、柔道やアーチェリーなどで混合団体が設けられるのは新たな試み。卓球は先の世界選手権で金メダルに輝いているし、お家芸の柔道はもっとも頂点に近いのではないか。

 ただ、いずれも男女の選手層が厚い強豪国や大国が個人、団体の双方でメダルを独占する可能性が高く、選手層の薄い国は蚊帳の外になりかねない。

 ■肥大化で撤退続々■

 一方で、東京大会の肥大化を懸念するIOCは陸上で105人、重量挙げで64人、レスリングで56人と大幅な選手数削減を図る。ドーピング問題への引責だという。国際陸連が「リオ五輪では10カ国が陸上だけにしか参加しなかった」と表明した。混合種目の新設も含めてIOCの掲げる「多様性」に疑問符がつきかねない。

 肥大化といえば、24年大会の開催に名乗りを上げた都市が経費面などから相次いで撤退。一騎打ちとなったパリとロサンゼルスを24年と28年に振り分ける異例の措置が取られる。今後、開催地への配慮からIOCが種目や限定競技で新たな方針を打ち出すことも想定される。

 日本では昨年の岩手国体から五輪女子種目を中心にボクシングやラグビー7人制などの正式競技化が進んでいる。20年に向けた選手発掘や強化の一環だが、国体の肥大化にもなっているという。

 国体はそもそも都道府県対抗であり、全ての自治体が全種目を網羅するのは困難だろう。拠点化を一層進めるなど戦略的なスポーツ行政こそ求められているのではないか。

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