【論説】学校法人「加計(かけ)学園」が国家戦略特区の愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画を巡り、「官邸の最高レベルが言っている」など特区担当の内閣府側の発言を記したとされる文書の存在が文部科学省の再調査で確認された。

 これを受け16日の参院予算委員会などで野党が追及を強めたが、文科省の文書と内閣府の主張の食い違いがあらわになっただけで、「加計学園ありき」の疑惑は払しょくされないままだ。国会を閉じても閉会中審査で解明すべきだ。

 解せないのは内閣府の対応だ。文科省が再調査結果を発表したのを受け急きょ、内閣府でも調査を行った。その結果、山本幸三地方創生担当相は「官邸の最高レベル」「総理のご意向」との発言をした内閣府職員はいないとした。

 文科省側が「真意は分からない」としながらも「こうした趣旨の発言はあったと思う」としたのを真っ向否定した形だ。文書と職員のヒアリングのどちらが正しいのか真偽を確かめる必要がある。

 さらに、昨年11月の国家戦略諮問会議で「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限る」との要件が出され、今治市で計画する加計学園に絞り込まれたとされる件では、文科省の文書には、修正を指示したのは「官邸の萩生田(光一官房)副長官」とある。

 しかし、山本氏は「私が判断した」と述べ、メールの送信者について「文科省からの出向職員で、陰に隠れ本省にご注進したもの」と語気を荒らげた。自らが所管する組織の職員をスパイ扱いするのはいかがなものか。経緯を明らかにすべきだ。内閣府の調査自体が、文書を否定するため取り繕ったとしか思えない。

 安倍晋三首相は参院予算委で「個別具体的に指示したことはない。法律にのっとった意思決定だったことに一点の曇りもない」などと強調。国会の事実上の閉会日に集中審議に応じたのも自らの主張を印象づけたかったからではないか。NHKの直近の内閣支持率は3ポイント減の48%、不支持率は6ポイント増の36%。機を見るに敏なりだろう。

 だが、これで幕引きでは国民は納得しないし、許されるはずがない。今治市が野党の情報公開請求に応じて開示した文書などには、かなり早い時期から「加計ありき」で進められてきたことがうかがえるものも含まれている。行政の公正公平が損なわれることがなかったのか、しっかり解明しなければならない。

 そのためにも、閉会中審査の場に、「文書は本物」と証言した前川喜平前文科次官、文科省や内閣府で関わった担当者らを呼ぶ必要がある。再調査などに関して首相は「対応に批判があることについて真摯(しんし)に受け止めたい」と述べた。「国会が決めること」などと逃げずに、閉会中審査を自ら主導すべきだ。

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