二○○四年の福井豪雨で大きな被害を受けた福井市一乗地区で十六日、被災後初めてホタルの観賞会が開かれた。全盛期の数には及ばないものの観賞会を歓迎するかのように数百の光が乱舞。集まった親子連れら約二百人がホタルの里復活への一歩を温かく見守った。

 観賞会を開いたのは、三十年にわたってホタルの飼育に取り組んできた「一乗観光フリーサービスクラブ」。福井豪雨で養殖器具や幼虫が壊滅的な打撃を受け、毎年六月に開いてきたホタル祭は現在も中断している。

 「ホタルの火を消すまい」と○五年、わずかに生き残ったホタルを元に養殖を再開。昨秋に朝倉氏遺跡の下城戸近くの堀池に放流した幼虫が、六月に入り無事に巣立ち始めた。

 堀池前で午後七時半に始まった観賞会では、同クラブの会員がゲンジボタルの特性や豪雨後の取り組みについて説明。辺りが闇に覆われ始めた午後七時半すぎ、期待を膨らませ見守っていた子どもたちの前にホタルが姿を現し始めた。

 「飛んだ、きれい」。大きな歓声が響き渡ると、待ちかねたように草の陰から次々とホタルが飛び立ち、水面に幻想的な光の舞を映し出した。家族で訪れた順化小一年の佐久間一誓君は「こんなにたくさんのホタルを見たのは初めて。お空の星が降ってきたみたい」と興奮気味に話していた。

 同クラブの吉田文武会長(65)は「豪雨からよくぞここまでたどり着けた」と感無量の様子。「きょうを一乗地区をホタルでいっぱいに戻すための第一歩にしたい」と決意を新たにしていた。

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