【論説】来年秋の福井国体に向けた強化策として、福井県が主に県外にいる成年選手のU・Iターン就職を橋渡しする全国初の仕組み「スポジョブふくい」が順調に進行している。180人が今春までに県内に就職。来春までに計220人の確保を目指す。これでアスリートは安心して競技に打ち込む環境が得られる。新戦力が「チームふくい」に加われば、強力な布陣で本番に臨め、天皇杯獲得(男女総合優勝)への期待が高まる。

 県は福井国体に開催県として約880人(冬季含む)の選手を送り出したい考えだ。このため、多くの優秀なアスリートに県内に就職してもらって、レベルアップを図る必要がある。

 そこで2014年に県内企業と選手を仲介する専用ホームページを立ち上げた。企業とアスリートそれぞれの希望を取って、双方に有益なマッチング実現へ動いた。

 企業側は選手対象の求人登録を行う。一方で県内就職を希望する選手は競技への強い意気込みなどを記入したエントリーシートを提出。県は選手に代わって希望に合った企業を探し、紹介する。企業は選手としての活動を理解しているため、就職後のトラブルは起きにくく、選手をバックアップする形が出来上がる。実際、これまでに退職者は出ていないという。

 登録している企業は60社以上。選手はエントリーする際、県内競技団体の推薦が必要だが、県が団体の担当者を紹介するため、スムーズな手続きが可能だ。

 スポジョブふくいを活用した例として、Iターンではアーチェリー成年女子の久原千夏選手がいる。長崎県出身で、福井信用金庫(本店福井市)に就職して1年目。近畿大時代にはインカレ室内個人、全日本学生王座決定戦団体、岩手国体団体などを制しており、実績は申し分ない。

 また、カヌースプリント成年女子の山下友理子選手は福井に来て3年目。愛知県出身で、ウエマツ(本社福井市)で働いている。U−23(23歳以下)世界選手権に日本代表として出場した経験もあり、福井国体では上位入賞が期待できる。

 Uターン組も多い。バレーボール成年男子の宇佐美文博選手は前田工繊(本社坂井市)に就職。羽水高2年のときに頭角を現し、龍谷大時代には関西大学秋季リーグ一部で優勝。豪快なスパイクが魅力だ。

 アマチュアスポーツでは競技を続けたくても専念する環境が整わず、競技続行を諦める選手も多数いる。国体が縁で初めて福井県を訪れる選手たちには“第二のふるさと”としてなじんでもらい、国体で存分に躍動してほしい。そして国体後も選手、指導者などの立場で残ってもらいたい。

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