今年もまた、ツバメが「サラナの家」にやってきました。そして今、子育ての真っ最中です。「サラナの家」は、これから親になろうとする方や、家庭でまだどこにも入所していない、小さいお子さんの子育てにあったっておられるお母さん方とともに、親子で実際の子育てを通して、子育てでの大切なことに気づき合ったり、学び合ったりするために、2004年に子どもの自然な育ちを配慮して「サラナ親子るーむ」として立ち上げられました。

サラナるーむが立ち上げられたその年早々に、玄関への入り口がツバメに目をつけられ、気に入られたのか、巣を作るようになりました。5月になって暖かくなってくると、それ以来毎年やってきて、巣作りをはじめるのです。


出入り自由な玄関への入り口の枠の、出ているか出ていないかのわずかの桟を支えにして、その上に巣を作るのです。ところが、これまで巣作りはしても、まだ一度も雛が孵るまでは成功したことがないようなのです。途中で雛が巣から落ちてしまったり、巣が壊されたりしてしまうのです。昨年は、猫か何かにやられてしまったのでしょうか、せっかく作ったその巣が、私たちが見ても、実に無残に縦に真っ二つに引き裂かれたように壊されてしまっているのでした。

そんな状態でしたので、今年は、暖かくなって、あちこちでツバメの鳴き声がし始めてもいつものようにサラナの家の前の電線に止まって、様子を伺うツバメの姿はなく、もう今年はツバメは来ないのかと寂しく思っておりました。ところが、5月も遅くなってあきらめかけていた頃に、いつものように2羽のツバメがやってきて、その無残にも壊されてしまった巣を再び何事もなかったかのようにつくろい始めたのです。あの小さなくちばしで、たとえ2羽であっても運べる泥の量は知れたものです。それにもかかわらず、ほんのわずかの日数で、ものの見事にその巣は修復されたのです。いつもより更に少し高く積み上げられて巣作りされているように思われました。

せっかく修復されたその巣が、また壊されてしまうのはかわいそうでなりません。何か協力できることはないかと、私の方も一生懸命思案しました。しかし、下手に手出しをすればツバメはかえって警戒してその巣に寄りつかなくなるということも聞いていました。祈るような気持ちで、巣が落ちないような支えとして、その桟の下から板を1枚打ちつけてもらいました。ツバメは警戒することもなく、そのおかげなのでしょうか、今年はいつもと違って、もう雛が孵ったのか、せっせと毎日えさ運びをしている様子なのです。雛が巣から顔を出してえさをねだる姿も間もなく見ることが出来るのではないかと楽しみにしているのです。

こうしたツバメの巣作りの状況を見て、人間であるならば、せっかく苦労して作った巣が、このように何度も無残に壊されてしまうと、悲嘆にくれ、新たに作り直す気力も湧かなくなってきてしまうものです。ところがツバメには、人間のようなそこまでの感情はないのでしょうか。そうしたことへの何の捉われの感情もないかのように自然の摂理のままに、ただ、ただひたすら、一筋に巣作りに励む姿に、現代の人間が失いかけている子育ての原点に触れた思いでした。そして子育ての支援のあり方についても気づかせていただきました。

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