北陸・中京新幹線開通後のイメージ

北陸・中京新幹線のルート案

 北陸と中京圏のアクセス向上策として、福井県の西川一誠知事が敦賀と名古屋を結ぶ「北陸・中京新幹線」の整備検討を提案したことに戸惑いの声が上がっている。福井県は、北陸新幹線新大阪延伸後のステップにつなげたい考えだが、北陸・中京新幹線は米原ルートと区間が同じ。昨年末に与党が決定した小浜・京都ルートは、まだ政府から認可されていないだけに、「まずは北陸新幹線に全力を注ぐべきだ。両にらみの作戦は足をすくわれる恐れがある」と懸念する関係者もいる。

 北陸・中京新幹線は米原ルートと同じく敦賀―米原を新規に建設し、米原―名古屋を東海道新幹線と共用することを想定した基本計画路線。

 西川知事は6月2日に大津市で開かれた中部圏知事会議で北陸・中京新幹線を含むアクセス向上策の検討を提案。事務レベルの調整会議を設けることを求め、愛知と岐阜、滋賀、石川、富山の各県と名古屋市が同意した。2023年春の北陸新幹線敦賀開業後の特急増便を議論した後、北陸・中京新幹線の整備に向け理解を深めていく予定だ。

 滋賀県は、西川知事の提案を受け入れたものの、受け止めは複雑だ。というのも「私たちが訴えていた米原ルートと同じ考え方」(同県交通戦略課の担当者)だからだ。

 滋賀県米原市が地盤で、米原ルートの実現を目指してきた県議の角田航也さん(45)は「小浜・京都ルートを推した西川知事から提案されるとは…」と驚く。与党プロジェクトチームは小浜・京都ルートの採用を決定したものの、着工に必要な事業認可の手続きはこれから正念場を迎える。角田さんは「今から逆転はできないだろうが、これなら米原ルートにすれば良かったのではという関係者も多いのではないか」と指摘する。

 ベテランの福井県議も「小浜・京都ルート沿線の京都や大阪を刺激しなければいいが…」と不安視する。福井県が北陸・中京新幹線の必要性を提示したことで、小浜・京都ルートとどちらを重要視しているのか、沿線府県や与党に誤解が生じて新大阪延伸に影響が出ることを懸念する。

 ただ、基本計画路線を巡っては、全国各地で整備計画路線への格上げに向けた態勢が整いつつある。山陰新幹線の早期整備を求める沿線の国会議員の会が昨年5月に発足したほか、四国でも四国新幹線の整備促進期成会が今年7月に設立される見通しだ。

 西川知事は5月26日の定例会見で「フューチャー・オブ・フューチャー(遠い将来)の話」と発言し、基本計画路線と距離を置く考えを示していた。その1週間後、北陸・中京新幹線を提案した理由について、ある県幹部は「北陸新幹線の全線整備が最優先の課題。その上で北陸・中京新幹線も山陰や四国に乗り遅れないよう、整備計画への格上げに向けた準備を進めておく必要がある」と強調する。

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