福井県あわら市出身の陶造形作家で、今春から金沢美術工芸大学学長を務めている久世建二(くぜけんじ)氏(61)=金沢市在住=の作品展が、十二日から同市金津創作の森で始まる。久世氏にとって地元で初の本格作品展で、代表作の「痕跡シリーズ」など六十三点を一挙に展示する。韓国人作家の崔成在(チエソンジエ)氏とコラボレーション。日韓の作家が同じ土を素材とした器や陶造形の奥深い競演となる。

 久世氏は旧芦原町温泉街の窯元「芦原焼」の生まれで、三国高で故小野忠弘氏から美術を学び、金沢美工大に進学。高校教諭を経て一九八五年から同大で講師、助教授、教授を経て今年四月から同大学長に就いた。

 陶造形作家としては、土(粘土)を一度地面に落とし、そこから生まれた形をモチーフとした「落下シリーズ」で高い評価を受けた。その後の「Fallingシリーズ」「痕跡シリーズ」と、土の持つ魅力を引き出す前衛的な作品に挑み続けている。

 今回の企画展「コラボレーション 土の魅力・凝態する土/観照、心想の世界」(福井新聞社後援)では、久世氏は九八年以降の「痕跡」など十七シリーズ六十三点を公開。特に「強い衝撃を受けた」という米国同時多発テロの「9・11」をモチーフとした二作品も。ツインタワーに見立てた陶柱の中間をヘラでえぐり、取った粘土をタワー頂上に積み上げ、崩壊したアメリカ繁栄の象徴を久世流に表現してみせた興味深い作品。

 ほかに、独特の粘土造形を千二百六十度で焼き上げるシリーズの中には、十字架を思わせる黒い人型など、独自の世界観を漂わせている。久世氏は「土イコール器、焼き物と単にとらわれない、いろんな姿、形を持つ土の魅力を感じていただけたら」と話している。

 同展は七月一日まで(月曜休館)。

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