画・福井大海画伯

私は医者になって約30年が過ぎた。その間、いろいろな病気が解明され、治療ができるようになってきた。医学・薬学など科学技術の進歩によるところが多いが、その30年の中でも画期的な薬や手術法のいくつかが思い浮かぶ。薬で言えば、ここ最近では骨粗ショウ症の薬がそうである。

1週間に1錠飲めばいいだけの薬が開発された。朝起きて30分は横になってはいけないという飲み方が面倒な薬だ。医療保険適応になっているので、どこの医療機関でも扱っている。それを飲むと、それまで腰痛で悩んでいた高齢の女性は痛みがなくなり、鎮痛剤も不要になることがある。腰痛の原因が骨粗ショウ症だったからだ。

女性が高齢になればほとんどが骨がもろくなり、それを骨粗ショウ症と呼ぶ。ならば病気とはいえないのではないかとも以前は思っていた。

しかし、この春、85歳の女性の腰椎の圧迫骨折で縦につぶれかかっていた骨が、その薬を飲むことで、3カ月後にはほぼ元に戻っていたのには正直、驚いた。その女性は圧迫骨折の以前からあった腰痛もなくなり、すっかり元気になり、歩行もしっかりしてきた。そのことがあって以来、骨密度測定という検査で骨塩(カルシウム)が低くなっている人にはその薬を積極的に勧めるようになった。

とかく、女性は軽くしりもちをついただけで腰椎圧迫骨折を起こすことがあるし、ちょっと転んだだけでも大腿骨頚部骨折を起こしやすく、それが寝たきりにもつながっていく。ならば、その薬を内服することでそれらのリスクも減らすことができ、健康な人生を過ごすことが出来るだろうという考えからだ。

と、いうわけで今、私が一番気に入っている薬(ビスフォスフォネート製剤)のことを書いてみた。

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