車椅子利用者に白無垢を着付ける三田村さん(左)ら=福井県越前市文化センター

 和服の着付けボランティアに取り組んでいる福井県越前市の三田村まつゑさん(76)が、車椅子に座ったまま脱ぎ着できる着物を考案した。「晴れの日の思い出を和装で残すお手伝いをしたい」との思いから、障害者や高齢者に無償で提供、笑顔を広げている。

 和装好きが高じて美容師資格を取得した三田村さんは、20代のときに和裁研究グループ「日本民族衣裳(いしょう)源流会」を設立。市内外の約40人の会員と千着を超える着物や小物を作ってきた。時代行列や演劇など地域のイベントに、万葉衣装から現代の和装まで幅広く提供している。


 長年和装に接する中で強く記憶に残っていたのが、車椅子の障害者を着付けした際、本人に加えて家族もとても喜んでくれたこと。成人式や結婚式の晴れ着を諦めてしまう人もいると聞き、座ったまま着られるよう工夫。上・下半身、左右の身頃とパーツごとに分け、体に負担をかけないアイデアで2015年に特許庁の実用新案に登録された。


 これを基に同会員が振り袖や紋服、束帯、十二単(ひとえ)といった12種類17着を仕立てた。着る人の年齢や体形に対応できるよう、今後さらに枚数を増やしていくという。


 5月28日には展示・説明会(福井新聞社後援)を同市文化センターで開催。市内外の障害者やその家族、施設関係者ら14人にこれらの着物を披露した。母と祖父母と訪れた就労支援事業所利用者の高松のぞみさん(23)=越前町=は白無垢(むく)を着せてもらい「車椅子に座ったまま花嫁衣装を着られるなんて感激」と満面の笑み。成人式は祖母に既製の振り袖を仕立て直してもらったそうで「特別支援学校の後輩にも和装したいという人は多い。友達に教えてあげたい」と声を弾ませた。


 今後もボランティアで衣装を貸し出すという三田村さんは、「障害の有無に関係なく、日本人としての喜びを感じてほしい。気軽に着てもらうサポートができれば」と話している。

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