【論説】廃炉が決定した高速増殖原型炉もんじゅについて、地元福井県の西川一誠知事は政府の関連協議会で「廃止措置に移行することはやむを得ない」と容認する考えを明確にした。国が一方的に廃炉を決定したのは昨年12月。半年近くを経てようやく廃炉体制の骨格だけは整った。だが、これでスムーズに進む保証はない。地元にはなお政策変更への不信感が根強く、今後の廃炉作業への不安感も強い。国と自治体の理解と連携なくして廃炉は進まない。

 もんじゅは原子炉の冷却にナトリウムを、燃料には極めて毒性の強いプルトニウムを利用する高速増殖炉だ。国内での廃炉経験はない。政府は2018年に燃料の取り出しを開始し、30年後の47年に施設解体を終える計画だが、絵に描いた餅になる可能性もある。

 廃炉の前提として、まず責任ある「もんじゅ総括」をすべきだ。開発に1兆円超の国費を投じた「夢の原子炉」がわずか250日の運転実績しか残さなかった根本原因は何だったのか。

 原子力規制委員会に「失格」の烙印(らくいん)を押された運営主体の日本原子力研究開発機構に責任を負わすのは簡単だ。だが「国策」として国家プロジェクトを推進してきたのは国である。核燃料サイクル政策も事実上破綻したに等しく、エネルギー基本計画はどうなる。

 そのことを素通りし、失敗を廃炉で「清算」するなら、愚かしい論理である。まして、もんじゅを上回る巨費を投じて後継の実証炉開発に進むことは国民の理解が得られるはずもない。小規模の高速実験炉「常陽」や、フランスの開発技術を活用するというのも拙速に浮上した方策だ。

 今後の廃炉について、菅義偉官房長官は「政府が一体となって対応したい」と強調した。内閣官房、文科省、経済産業省による廃止措置推進チーム新設や現地対策チームの設置、第三者による評価専門家会合による助言と評価体制、さらに文科省内に原子力機構を指導、監督する特命チームも整備する。

 こうした国の体制は、福井県の要望などを取り入れた形だ。しかし、重要なのは形より、それらがどう有機的につながり、実効性あるシステムとして機能していくかであろう。

 政府は県の要請に応じて使用済み燃料の県外搬出を「廃炉に関する基本方針」に盛り込む方向だ。燃料取り出し作業が終了する約5年半の間に結論を出す。ナトリウムや放射性廃棄物も同様の措置を取るというが、肝心な搬出先は未定。もし海外に頼るなら、高額を要求されるだけだ。

 長期の停止で部品にはさびが付着するなど今後の作業には困難が予想される。県もよほど厳格にチェックしないと、計画がずるずると遅れる恐れがある。

 政府は地域振興策にも言及はしているが、原子力研究・人材育成拠点など重要な対策はまだ不透明だ。知事が強調してきた「地元の納得がなければ物事が的確に進まない」との苦言を肝に銘じるべきである。
 

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