惜陰小に残るブリタニカ百科事典の第10版=福井県鯖江市

 英語の百科事典として最古の歴史を持つブリタニカ百科事典の第10版が惜陰小(福井県鯖江市)に残っている。地元出身の冒険家が100年以上前に寄贈したもので、全編英語。古里の子どもたちに世界へ羽ばたく人間になってもらいたいとの思いを“行間”から読み取ることができる。

 同事典は18世紀にスコットランドで第1版が出版され、学術的な評価が高い第9版に追補版を加えた第10版は1902年頃に日本でも販売された。小学校教員の月給が30円程度の時代、価格は全35巻で200円と高価。700部ほど売れたが、購入したのは富裕層や自治体などの団体に限られていた。

 そのうちの一人が鯖江市出身の冒険家の西澤吉治氏。南シナ海の無人島を発見し、鉱石発掘事業を行った実業家としても知られる。11年に惜陰小に同事典を贈った。

 児童にとって英語の百科事典は難解すぎる気もするが、鯖江郷土史懇談会の窪田静雄さん(79)=鯖江市=は「世界は広く、知識に満ちているということを地元の児童たちに知ってもらいたかったのではないか」と西澤氏の思いをくむ。

 事典は同校内の進徳館にある会議室の書棚に所蔵されている。35巻中3巻がなくなっており、背表紙が傷んだものもあるが活字は今も鮮明だ。利用される機会はまれだが、水間貴子校長(58)は「今後、ふるさと学習などで活用したい」と話していた。

関連記事